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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

第十四帖 澪標(みおつくし)源氏物語

【源氏物語471 第14帖 澪標 45】田蓑島《たみのじま》での祓《はら》いの木綿《ゆう》につけて、明石の上の返事は源氏の所へ来た。源氏は人目を遠慮せず会いに行きたいとさえ思った。

数ならで なにはのことも かひなきに 何みをつくし 思ひ初《そ》めけん 田蓑島《たみのじま》での 祓《はら》いの木綿《ゆう》につけて この返事は源氏の所へ来たのである。 ちょうど日暮れになっていた。 夕方の満潮時で、 海べにいる鶴《つる》も鳴き声を…

【源氏物語470 第14帖 澪標44】源氏は懐紙に歌を書き 明石の君の船に届けた。明石の君は自身の薄幸さを悲しんでいたところに 少しの消息であるが送られてきたことで感激して泣いた。

源氏は懐紙に書くのであった。 みをつくし 恋ふるしるしに ここまでも めぐり逢ひける 縁《えに》は深しな 惟光に渡すと、 明石へついて行っていた男で、 入道家の者と心安くなっていた者を使いにして 明石の君の船へやった。 派手な一行が浪速を通って行く…

【源氏物語469 第14帖 澪標43】源氏は淀川の七瀬に祓いの幣が建てられてある堀江を眺め「今はた同じ浪速なる」(身をつくしても逢はんとぞ思ふ)と我知らず口に出た。

こちらの派手な参詣ぶりに畏縮《いしゅく》して 明石の船が浪速のほうへ行ってしまったことも惟光が告げた。 その事実を少しも知らずにいたと 源氏は心で憐《あわれ》んでいた。 初めのことも今日のことも住吉の神が 二人を愛しての導きに違いないと思われて…

【源氏物語468 第14帖 澪標42】こんな時に御幣(みてぐら)を差し上げても神は目にとどめにならぬだろう。祓いのために浪速に船をまわして明石の君の船は去った。

こんな時に自分などが貧弱な御幣《みてぐら》を差し上げても 神様も目にとどめにならぬだろうし、 帰ってしまうこともできない、 今日は浪速《なにわ》のほうへ船をまわして、 そこで祓《はら》いでもするほうがよいと思って、 明石の君の乗った船はそっと住…

【源氏物語467 第14帖 澪標 41】若君の夕霧は衣装を揃えた馬添い童がつけられ 大切に扱われている。華やかな源氏の参詣をみて自分が惨めに思えた。

大臣家で生まれた若君は馬に乗せられていて、 一班ずつを揃《そろ》えの衣裳にした幾班かの 馬添い童《わらわ》がつけられてある。 最高の貴族の子供というものはこうしたものであるというように、 多数の人から大事に扱われて通って行くのを見た時、 明石の…

【源氏物語466 第14帖 澪標40】源氏は童随身(わらわずいじん)を賜る。みずらを紫のぼかしの元結でくくった美しい子ども達であった。明石の君はきまり悪さに源氏を見ることができなかった。

明石に来ていた人たちが昔の面影とは違ったはなやかな姿で 人々の中に混じっているのが船から見られた。 若い顕官たち、殿上役人が競うように凝った姿をして、 馬や鞍《くら》にまで華奢《かしゃ》を尽くしている一行は、 田舎《いなか》の見物人の目を楽し…

【源氏物語465 第14帖 澪標39】加茂の大神を恨んだ右近丞(空蝉の夫 伊予介の息子)は随身を連れ蔵人に、良清は靭負佐になって華やかな赤い袍であった。

さすがによそながら巡り合うだけの宿命に つながれていることはわかるのであったが、 笑って行った侍さえ幸福に輝いて見える日に、 罪障の深い自分は何も知らずに来て 恥ずかしい思いをするのであろうと思い続けると 悲しくばかりなった。 深い緑の松原の中…

【源氏物語464 第14帖 澪標38】源氏は住吉詣をした。華やかで大掛かりな旅になった。丁度その日は、明石の君も参詣で船で住吉に来ていた。源氏の華やかな姿を見て、我が身の上を嘆いた。

この秋に源氏は住吉詣《すみよしもう》でをした。 須磨《すま》、 明石《あかし》で立てた願《がん》を 神へ果たすためであって、 非常な大がかりな旅になった。 廷臣たちが我も我もと随行を望んだ。 ちょうどこの日であった、 明石の君が毎年の例で参詣する…

【源氏物語462 第14帖 澪標36】源氏は大后にも好意のある計らいをしていた。兵部卿の宮へは、紫の上に 冷淡であったことを恨めしく思い 昔のような付き合いは無くなった。

皇太后は人生を恨んでおいでになった。 何かの場合に源氏はこの方にも好意のある計らいをして 敬意を表していた。 太后としてはおつらいことであろうとささやく者が多かった。 兵部卿《ひょうぶきょう》親王は 源氏の官位剥奪《はくだつ》時代に冷淡な態度を…

【源氏物語461 第14帖 澪標35】藤壺の宮は太上天皇に準じて女院と遊ばされ、仏法に関係した善行功徳をお営みになることを精励しておいでになった。

入道の宮をまた新たに御母后《ごぼこう》の位にあそばすことは 無理であったから、 太上天皇に準じて女院《にょいん》にあそばされた。 封国が決まり、 院司の任命があって、 これはまた一段立ちまさったごりっぱなお身の上と見えた。 仏法に関係した善行功…

【源氏物語459 第14帖 澪標33】源氏は朧月夜の君を恋しく思っていた。懲りずに危ないことをしかねないほど熱心になっているが、女君は昔のように誘惑に乗らない。

源氏は今も尚侍《ないしのかみ》を恋しく思っていた。 懲りたことのない人のように、 また危《あぶな》いこともしかねないほど熱心になっているが、 環境のために恋には奔放な力を見せた女もつつましくなっていて、 昔のように源氏の誘惑に反響を見せるよう…

源氏物語458 第14帖 澪標32 🌸源氏は、ゆかりの女君達を東の院に住まわせようと考える。設計は面白く 近代的で明るい。趣味の良い地方官に殿舎を割り当てにして作らせた。

源氏は東の院は本邸でなく、 そんな人たちを集めて住ませようと 建築をさせているのであったから、 もし理想どおりにかしずき娘ができてくることがあったら、 顧問格の女として才女の五節などは 必要な人物であると源氏は思っていた。 東の院はおもしろい設…

【源氏物語457 第14帖 澪標31】花散里は「なぜあの時に私は非常に悲しいことだと思ったのでしょう。私などはあなたに幸福の帰って来た今だってもやはり寂しいのでしたのに」と言った。

「なぜあの時に私は非常に悲しいことだと思ったのでしょう。 私などはあなたに幸福の帰って来た今だっても やはり寂しいのでしたのに」 と恨みともなしに おおように言っているのが可憐《かれん》であった。 例のように源氏は言葉を尽くして女を慰めていた。…

【源氏物語456 第14帖 澪標30】何に動揺することもなく長く留守の間を静かに待っていてくれた花散里を、源氏は信頼している。

水鶏《くいな》が近くで鳴くのを聞いて、 水鶏だに 驚かさずば いかにして 荒れたる宿に 月を入れまし なつかしい調子で言うともなくこう言う女が 感じよく源氏に思われた。 どの人にも自身を惹《ひ》く力のあるのを知って 源氏は苦しかった。 「おしなべて …

【源氏物語455 第14帖 澪標29】美しい源氏と月明かりのさす所に出ていることは恥ずかしかったが初めから花散里はそこにいた、この態度が源氏の気持ちを楽にした。

何年かのうちに邸内《やしきうち》はいよいよ荒れて、 すごいような広い住居《すまい》であった。 姉の女御《にょご》の所で話をしてから、 夜がふけたあとで西の妻戸をたたいた。 朧《おぼ》ろな月のさし込む戸口から 艶《えん》な姿で源氏ははいって来た。…

【源氏物語 454 第14帖 澪標28】公務も落ち着いた 五月雨の頃、花散里を訪問することにした。花散里の家の生活を源氏は保護していた。

こんなふうに紫の女王《にょおう》の 機嫌を取ることにばかり追われて、 花散里《はなちるさと》を訪ねる夜も 源氏の作られないのは女のためにかわいそうなことである。 このごろは公務も忙しい源氏であった。 外出に従者も多く従えて出ねばならぬ 身分の窮…

【源氏物語453 第14帖 澪標27】源氏は紫の上に言い訳をしながら、上包みに書かれた字だけを見せた。貴女も恥ずかしいほどの 品の良い手跡である。

「そんなにあなたに悪く思われるようにまで 私はこの女を愛しているのではない。 それはただそれだけの恋ですよ。 そこの風景が目に浮かんできたりする時々に、 私は当時の気持ちになってね、 つい歎息《たんそく》が口から出るのですよ。 なんでも気にする…

【源氏物語452 第14帖 澪標26】乳母は自分の事も源氏が書いてくれているのに満足した。源氏は明石の上の返事を見て 可哀想だと呟いたのを聞いて物思わしそうにした。

乳母は源氏の手紙をいっしょに読んでいて、 人間にはこんなに意外な幸運を持っている人もあるのである、 みじめなのは自分だけであると悲しまれたが、 乳母はどうしているかということも奥に書かれてあって、 源氏が自分に関心を持っていることを知ることが…

【源氏物語451 第14帖 澪標25】乳母は、京や宮廷、源氏の立場を始終話した。別れた後も好意を寄せ 姫を大切にしてくれる源氏を思い 自分が幸福だと思うようになった。

入道の身分に近いほどの家の女《むすめ》も ここに来て女房勤めをしているようなのが幾人かはあるが、 それがどうかといえば 京の宮仕えに磨《す》り尽くされたような年配の者が 生活の苦から脱《のが》れるために田舎下りをしたのが多いのに、 この乳母はま…

【源氏物語450 第14帖 澪標24】源氏は、明石に誠実な手紙を送る。入道は感激して泣いていた。乳母の君も 優しい気質の明石の君によき友人のように感じる。

海松や 時ぞともなき かげにゐて 何のあやめも いかにわくらん からだから魂が抜けてしまうほど恋しく思います。 私はこの苦しみに堪えられないと思う。 ぜひ京へ出て来ることにしてください。 こちらであなたに不愉快な思いをさせることは断じてない。 とい…

【源氏物語463 第14帖 澪標37】葵上の父 の太政大臣と源氏の君の勢力はまし、葵上の兄の権中納言の娘が入内した。兵部卿の宮の姫君も入内したが源氏は素っ気ない。

現代には二つの大きな勢力があって、 一つは太政大臣、 一つは源氏の内大臣がそれで、 この二人の意志で何事も断ぜられ、 何事も決せられるのであった。 権中納言の娘がその年の八月に後宮へはいった。 すべての世話は祖父の大臣がしていて はなやかな仕度《…

【源氏物語460 第14帖 澪標34】朱雀院は音楽の会などをあそばして風流に暮らしておいでになった。東宮の母君は 思わぬ幸運に恵まれて東宮の御在所に侍している。

院は暢気《のんき》におなりあそばされて、 よくお好きの音楽の会などをあそばして 風流に暮らしておいでになった。 女御《にょご》も更衣《こうい》も御在位の時のままに侍しているが、 東宮の母君の女御だけは、 以前取り立てて御寵愛《ちょうあい》があっ…

【源氏物語449 第14帖 澪標23】源氏は 明石の姫君の五十日《いか》の祝いを思いやる。源氏は その日に合わせて華奢な祝い品、さまざまな実用品を贈った。

五月の五日が五十日《いか》の祝いにあたるであろうと 源氏は人知れず数えていて、その式が思いやられ、 その子が恋しくてならないのであった。 紫の女王に生まれた子であったなら、 どんなにはなやかにそれらの式を 自分は行なってやったことであろうと残念…

【源氏物語448 第14帖 澪標22】源氏が語る明石の君に 紫の上は嫉妬する。源氏は十三弦を弾くように進めるが 名手と言われる明石の君が気になってか手も触れない。

別れの夕べに前の空を流れた塩焼きの煙のこと、 女の言った言葉、 ほんとうよりも控え目な女の容貌の批評、 名手らしい琴の弾きようなどを 忘られぬふうに源氏の語るのを聞いている女王は、 その時代に自分は一人で どんなに寂しい思いをしていたことであろ…

【源氏物語447 第14帖 澪標21】離れていた日々を思い、どれほど悲しかったことかと思い出していた源氏は、紫の上に比べると それほどの恋愛でないと思われた。

どんなにこの人が恋しかったろうと別居時代のことを思って、 おりおり書き合った手紙に どれほど悲しい言葉が盛られたものであろうと思い出していた源氏は、 明石の女のことなどはそれに比べて命のある恋愛でもないと思われた。 「子供に私が大騒ぎして使い…

【源氏物語446 第14帖 澪標20】紫の上に明石の君の姫君の話をした。京に呼び貴女に見せよう。憎んではいけませんよと言う源氏。紫の上は恨み言を言うが、源氏は悲しくなり涙ぐむ。

夫人には明石の話をあまりしないのであるが、 ほかから聞こえて来て不快にさせてはと思って、 源氏は明石の君の出産の話をした。 「人生は意地の悪いものですね。 そうありたいと思うあなたにはできそうでなくて、 そんな所に子が生まれるなどとは。 しかも…

【源氏物語445 第14帖 澪標19】明石の上は、感想を少し書いて歌を添えてきた。源氏は明石にいる我が子が心にかかり みたくてならぬ気がした。

明石の君は感想を少し書いて、 一人して 撫《な》づるは袖《そで》の ほどなきに 覆《おほ》ふばかりの 蔭《かげ》をしぞ待つ と歌も添えて来た。 怪しいほど源氏は明石の子が心にかかって、 見たくてならぬ気がした。 ❄️雪花歌譚 written by のる❄️ 少納言…

【源氏物語444 第14帖 澪標18】明石の上は、物思いのため衰弱した身体で出産をしたが、源氏の至誠に慰められ力づけられた。送ってきた侍にも入道は心を込め歓待をした。

若い母は幾月かの連続した物思いのため 衰弱したからだで出産をして、 なお命が続くものとも思っていなかったが、 この時に見せられた源氏の至誠にはおのずから慰められて、 力もついていくようであった。 送って来た侍に対しても入道は心をこめた歓待をした…

【源氏物語443 第14帖 澪標17】国境までは船で、それから馬で乳母は明石に着いた。入道は感激して今日を拝んだほどである。姫君は美しい。乳母は姫君を大切にした。

摂津の国境《くにざかい》までは船で、 それからは馬に乗って乳母は明石へ着いた。 入道は非常に喜んでこの一行を受け取った。 感激して京のほうを拝んだほどである。 そしていよいよ姫君は尊いものに思われた。 おそろしいほどたいせつなものに思われた。 …

【源氏物語442 第14帖 澪標16】源氏は明石の上、姫君に多くの贈り物をした。乳母にも十分報いた。源氏は明石入道の喜びようを想像して微笑した

京の間だけは車でやった。 親しい侍を一人つけて、 あくまでも秘密のうちに乳母《めのと》は送られたのである。 守り刀ようの姫君の物、若い母親への多くの贈り物等が 乳母に託されたのであった。 乳母にも十分の金品が支給されてあった。 源氏は入道がどん…