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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

🪷平家物語 The Tale of the Heike

【 平家物語29 第2巻 西光被斬④〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷

まもなく、陰謀の一味の面々、 近江中将入道蓮浄、法勝寺執行俊寛僧都、山城守基兼、 式部大輔雅綱、平判官康頼、宗判官信房、新平判官資行らが、 続々と捕えられて、西八条に連行されてきた。 一味うたるの報に、 西光法師は、もちろん、陰謀のばれた事を覚…

【平家物語28 第2巻 西光被斬③〈さいこうがきられ〉〜The Tale of the Heike🪷

翌くる六月一日の未明、清盛は、 検非違使安倍資成《けびいしあべのすけなり》を召し、 院の御所への使いを命じた。 資成は御所に着くと、 大膳大夫信業《だいぜんのだいふのぶなり》を呼んで清盛の伝言を、 法皇に伝えてくれるように頼んだ。 「わが君の仰…

【平家物語26 第2巻 西光被斬②〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷

額に汗をみなぎらせ、真蒼《まっさお》な顔に息使いも荒く、 西八条の邸に入ってきた行綱に、 家来達も驚いて、早速、清盛の所に知らせた。 「何、行綱だと? めったに来もしない奴が、 又何でこんな夜中にやって来たんだ? とにかくおそいから、わしは逢わ…

【平家物語26 第2巻 西光被斬①〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷

山門の衆徒が、前座主《ざす》の流罪を妨害して、 山へ連れ戻した知らせは、後白河法皇をひどく怒らせた。 「山門の大衆どもは、勅命を何と心得えて、 このように言語道断のことをするのだろうか?」 側に侍《はべ》っていた西光法師も、 前座主帰山の知らせ…

平家物語25 第2巻 座主流し③〈ざすながし〉〜The Tale of the Heike🪷

驚いたのは、明雲大僧正である。 元々、道理一点ばりの人だからここに及んでも、 喜ぶより先に、この事件の行末を気にかけていた。 「私は、法皇の勅勘を受けて流される罪人なのですから、 少しも早く、都の内を追い出されて、 先を急がねばならぬ身です。 …

平家物語24 第2巻 座主流し②〈ざすながし〉〜The Tale of the Heike🪷

この明雲大僧正は、 久我大納言顕通《こがのだいなごんあきみち》の子で、 仁安《にんあん》元年座主となり、 当時天下第一と言われる程の智識と高徳を備えた人で、 上からも下からも、尊敬されていた人だったが、 ある時、陰陽師《おんようし》の安倍泰親《…

【平家物語23 第2巻 座主流し①〈ざすながし〉】〜The Tale of the Heike🪷

治承元年五月五日、叡山の座主〈ざす〉、明雲《めいうん》大僧正は、 宮中の出入りを差しとめられた。 同時に、天皇平安の祈りを捧げるために預っていた、 如意輪観音《にょいりんかんのん》の本尊も取上げられた。 更に検非違使庁《けびいしのちょう》を通…

【平家物語21 第1巻 神輿振〈みこしぶり〉】〜 The Tale of the Heike🪷

加賀守師高、目代師経の断罪を度々叫び続けていたのにも拘らず、 一向に沙汰のないのにしびれを切らした山門の僧兵達は、 再び実力で、事を処理する決心を固めた。 折柄行われる予定の日吉《ひえ》の祭礼をとりやめると、 安元《あんげん》三年四月、御輿を…

【平家物語22 第1巻 内裏炎上〈だいりえんじょう〉1巻 完】〜The Tale of the Heike🪷

僧兵の引揚げた後、取り残された神輿について、 俄かに、公卿会議が開かれた。 とにかく、いささか、不気味なお土産《みやげ》だけに、 いくたの論議が繰り返されたが、 結局、保延《ほうえん》四年神輿入洛《じゅらく》の前例にならって、 祇園の神社に奉置…

【平家物語20 第1巻 願立②〈がんだて〉】〜The Tale of the Heike🪷

満願の夜、八王子の社の参詣人の一人で、 奥州の方から上京してきた少年が、突然、気を失って倒れた。 人々がいろいろ手を尽して介抱すると、 まもなく息を吹き返したが、 今度は、よろよろっと起き上ると、 人々の呆然とした顔を尻目に、舞を舞い始めた。 …

【平家物語19 第1巻 願立①〈がんだて〉】〜The Tale of the Heike🪷

藤原氏の専横を抑え、院政の始りを開いた程の、 豪気な帝であった故白河院が、 「賀茂川の水、双六《すごろく》の骰《さい》、 比叡の山法師、これだけは、いかな私でも手に負えない」 といって嘆いたという話がある。 山門の横暴振りは他にも伝わっている。…

【平家物語18 第1巻 鵜川の戦〈うかわのいくさ〉】〜The Tale of the Heike🪷

安元《あんげん》三年三月五日、 藤原師長《もろなが》は太政大臣、 その後を重盛が襲って内大臣に任命された。 当然内大臣になるべき、 大納言 定房《さだふさ》を越えての栄進であった。 ところで話は二年程さかのぼって安元元年 加賀守《かがのかみ》に任…

【平家物語17 第1巻 鹿ケ谷〈ししがたに〉②】〜The Tale of the Heike🪷

ところで、成親と、動機こそ違え、志を同じくする者は、 まだ幾人かあった。 彼らがいつも好んで寄り集りの場所にしたのは、鹿ヶ谷にある、 これも同志の一人 俊寛《しゅんかん》の山荘である。 ここは、東山のふもとにあり、 後は三井寺に続いた、要害堅固…

【平家物語16 第1巻 鹿ケ谷①〈ししがたに〉】〜The Tale of the Heike🪷

思い掛けぬ出来事があって、天皇元服の決め事も伸びのびになっていたが、 二十五日に無事に行われた。 基房は、太政大臣に昇任したが、 何となく割り切れない昇級でもあった。 年も明けて、嘉応三年正月、無事に元服が済み、 清盛の娘の徳子(後の建礼門院)…

【平家物語15 第1巻 殿下の乗合〈でんかの のりあい〉〜The Tale of the Heike🪷

嘉応《かおう》元年七月十六日、後白河院が出家された。といっても、今まで通り、政務は、続けられていたから、別に変りはなかった。益々わがまま一方になる平家のやり口については、心の内で、何かとご不満を感じていられた様子だったが、それを公けにされ…

【平家物語14 第1巻 東宮立(とうぐうだち)】〜The Tale of the Heike🪷

その年は喪中のため即位の行事も取やめになったが、暮の二十四日、東の御方、建春門院《けんしゅんもんいん》の腹になる、後白河院の皇子に親王の宣旨《せんじ》があり、明けて、年号が変って仁安《にんあん》となった。この年の十月、この皇子が東宮になら…

【平家物語13 第1巻 清水炎上〈きよみずえんじょう〉】〜The Tale of the Heike🪷

二条帝の葬儀の際の、興福寺と延暦寺の争いは比叡山の僧兵が、 大挙して山を下るという噂《うわさ》が拡がった。 この時誰がいい出したのか、 「何でも、後白河院が、平家追討を叡山の坊主に申付けられたって話だぞ」 といったたぐいの噂が、まことしやかに…

【平家物語12 第1巻 額打論〈がくうちろん〉】〜The Tale of the Heike🪷

永万《えいまん》元年の春頃から、 病みつき勝ちだった天皇の容態が急変し、 六月には、 大蔵大輔伊岐兼盛《おおくらのたいふいきのかねもり》の娘に生ませた 第一皇子に位を譲られた。 間もなく七月、二十三歳という若さで世を去った。 時に新天皇は二歳と…

【平家物語11 第1巻 二代の后〈きさき〉】〜The Tale of the Heike🌺

とかく戦乱がうち続き、世の中が騒然としてくると、 倫理とか、道徳といったものが、無視されがちである。 平家一門の栄耀栄華《えいようえいが》の陰には、 敗戦の不運に泣く源氏の将兵があり、 又、天皇と上皇は、 互にけんせいし合いながら、政権をねらう…

【平家物語10 第1巻 妓王④完〈ぎおう〉】〜The Tale of the Heike🪷

仏《ほとけ》も昔は凡夫なり 我等も遂には仏なり。 何《いず》れも仏性《ぶっしょう》具《ぐ》せる身を 隔《へだ》つるのみこそ悲しけれ。 俗謡《ぞくよう》に事よせて、切々と歌い続ける妓王の姿は、 並みいる人の涙をそそるものがあった。 清盛も少しは気…

【平家物語9 第1巻 妓王③(ぎおう)】〜The Tale of the Heike💐

別れるとき、妓王は、居間の障子に一首の歌をかきつけた。 もえ出るもかるるも同じ野辺の草 いずれか秋にあわではつべき 今は得意絶頂の仏さま、 貴女《あなた》だっていつ何時、 私みたいなことにはなりかねないかも知れませんよ。 それは、妓王の精一杯の…

【平家物語8第1巻 妓王②】〜The Tale of the Heike🌹

邸を出ようとしていた仏は、たちまち呼び返されて、 清盛の前に連れて来られた。逢ってみると、 何せ、今をときめく白拍子である。 年は若いし、器量は良いし、その上、持ち前の度胸のよさで、 清盛の前に出ても、ハキハキと受け答えする様子が、 いかにも溌…

平家物語7 第1帖 妓王(ぎおう)①〜The Tale of the Heike 🪷 🙇平家物語6ではなく7です🙇‍♀️

当時、京都には、妓王、妓女《ぎじょ》と呼ばれる、 白拍子《しらびょうし》の、ひときわ衆に抜きん出た姉妹があった。 その母も刀自《とじ》と呼ばれ、昔、白拍子であった。 清盛が目をつけたのは、姉の妓王で、片時も傍を離さずに寵愛していた。 おかげで…

【平家物語 第1巻6 一門の栄華】〜The Tale of the Heike 🪷

平家一族は、高位、高官の顕職を、ほしいままにし始めた。 一寸見廻しただけでも、長男 重盛《しげもり》は、 内大臣《ないだいじん》兼 左大将《さだいしょう》、 次男 宗盛《むねもり》は、中納言《ちゅうなごん》右大将、 三男|知盛《とももり》が三位《…

【平家物語 第1巻 5 禿童〈かぶろ〉】〜The Tale of the Heike

清盛は、五十一歳の時、出家し、浄海《じょうかい》と名乗った。 大病にかかったのが、きっかけで、 さしもの彼も、少しばかり、気が弱くなったらしい。 しかし、たちまち、病は全快、彼はつるつる頭を撫でながら、 「まだ当分生きられるぞ」 といってほくそ…

【平家物語 第1巻 4 鱸〈すずき〉】〜The Tale of the Heike 🪻

仁平《にんぺい》三年正月、忠盛は、五十八歳で死に、 息子の清盛《きよもり》が、跡を継いだ。 清盛は、父親にもまして、才覚並々ならぬ抜目のない男だったらしい。 保元《ほげん》、平治《へいじ》の乱と、 権力者の内紛に、おちょっかいを出しながら、 自…

平家物語3〈殿上の闇討(やみうち)②〉〜The Tale of the Heike 🪷

戦場で鍛え上げた忠盛の目は、宮中のうす暗いところで、 かすかに人の気配のするのを敏感に感じ取った。 彼はやおら、刀を抜き放つと、 びゅん、びゅんと振り廻《まわ》したからたまらない。 大体が、臆病者揃いの公卿たちは、 闇夜《やみよ》にひらめく一閃…

平家物語 第1巻2 〈殿上の闇討ち (やみうち)①〉〜The Tale of the Heike🪷

昔の権力者は、地位が安定してくるとやたらに、 お寺とか、お墓とかを建てる習慣があったらしい。 人力では及びのつかない、神仏の加護を借りて、 権力の座にいつまでも とどまることを願うという心理にもとづくものである。 鳥羽院もかねがね三十三間の御堂…

🪷平家物語 第1巻 1〈祇園精舎〉The Tale of the Heike

祇園精舎《ぎおんしょうじゃ》の鐘の声、 諸行無常の響《ひびき》あり。 娑羅双樹《しゃらそうじゅ》の花の色、 盛者《しょうじゃ》必衰の理《ことわり》をあらわす。 おごれる人も久しからず、唯、春の夜の夢のごとし。 猛《たけ》きものもついにはほろびぬ…