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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【源氏物語593 第18帖 松風17】源氏は大堰の山荘に来た。今さらのようにこの人に深い愛を覚えながら、生まれた姫君を見て また感動した。源氏は姫君を非常に可愛いと思った。

微行《しのび》で、 しかも前駆には親しい者だけを選んで 源氏は大井へ来た。 夕方前である。 いつも狩衣《かりぎぬ》姿をしていた明石時代でさえも 美しい源氏であったのが、 恋人に逢うがために引き繕った直衣《のうし》姿は まばゆいほどまたりっぱであっ…

【源氏物語592 第18帖 松風16】紫の上は、桂の院に明石の人を迎えたと気づくと 嬉しいこととは思えず、仙人の碁を見物していた木こりの斧が朽ちていた逸話で不愉快な思いを伝えた。

夫人は桂の院という別荘の 新築されつつあることを聞いたが、 そこへ明石の人を迎えたのであったかと気づくと うれしいこととは思えなかった。 「斧《おの》の柄を新しくなさらなければ (仙人《せんにん》の碁を見物している間に、 時がたって気がついてみ…

【源氏物語591 第18帖 松風15】源氏は、他から耳に入ると気まずいと思って、嵯峨野の御堂にかこつけて 紫の上に明石の君が上京したことを知らせる。

横になっていた尼君が起き上がって言った。 身を変へて 一人帰れる 山里に 聞きしに似たる 松風ぞ吹く 女《むすめ》が言った。 ふるさとに 見し世の友を 恋ひわびて さへづることを 誰《たれ》か分くらん こんなふうにはかながって 暮らしていた数日ののちに…

【源氏物語590 第18帖 松風14】山荘は風流で趣がある。明石の上は物思いばかりされて 源氏の形見の琴を弾いていると、松風の音が荒々しく合奏をしかけてきた。

山荘は風流にできていて、 大井川が明石でながめた海のように前を流れていたから、 住居《すまい》の変わった気もそれほどしなかった。 明石の生活がなお近い続きのように思われて、 悲しくなることが多かった。 増築した廊なども趣があって 園内に引いた水…

【源氏物語589 第18帖 松風13】明石の浦の朝霧に 船の隔たっていくのを見る入道の心は ただ呆然としていた。一行は、無事に京に入り 目立たぬように大堰の山荘に移った。

車の数の多くなることも人目を引くことであるし、 二度に分けて立たせることも 面倒なことであるといって、 迎えに来た人たちもまた 非常に目だつことを恐れるふうであったから、 船を用いてそっと明石親子は立つことになった。 午前八時に船が出た。 昔の人…

【源氏物語588 第18帖 松風12】明石入道は、これが永遠の別れになること、自分が煙になる夕べまで 姫君の幸せを祈ることだろうと 自分の心のうちを伝える。

思いがけず源氏の君を婿に見る日が来たのであるが、 われわれには身分のひけ目があって、 よいことにも悲しみが常に添っていた。 しかし姫君がお生まれになったことで 私もだいぶ自信ができてきた。 姫君はこんな土地でお育ちになってはならない 高い宿命を…

【源氏物語587 第18帖 松風11】明石入道は、出世を諦め地方官になったが、珠玉のような娘を埋もれさせていいのものかと悩むようになった。娘の明石の君への想いを語る。

「私は出世することなどを思い切ろうとしていたのだが、 いよいよその気になって地方官になったのは、 ただあなたに物質的にだけでも 十分尽くしてやりたいということからだった。 それから地方官の仕事も私に適したものでないことを いろんな形で教えられた…

【源氏物語586 第18帖 松風10】明石入道は落ちてくる涙を拭い隠す。尼君は信頼する夫と離れることを嘆く。明石の上は、せめて見送ってほしいと懇願する。

「行くさきを はるかに祈る 別れ路《ぢ》に たへぬは老いの 涙なりけり 不謹慎だ私は」 と言って、 落ちてくる涙を拭《ぬぐ》い隠そうとした。 尼君が、京時代の左近中将の良人《おっと》に、 「もろともに 都は出《い》でき このたびや 一人野中の 道に惑は…

【源氏物語585 第18帖 松風9】出立の日の夜明け、秋風が吹き 虫の声をする門出の日、父も娘も忍ぶことができず泣いていた。夜光の珠のような孫娘の姫君との別れを思い 悲しみに暮れる入道。

出立の日の夜明けに、 涼しい秋風が吹いていて、 虫の声もする時、 明石の君は海のほうをながめていた。 入道は後夜《ごや》に起きたままでいて、 鼻をすすりながら仏前の勤めをしていた。 門出の日は縁起を祝って、 不吉なことはだれもいっさい避けようとし…

【源氏物語584 第18帖 松風8】頑固ではあったが、信頼してきた夫と離れるのが辛い明石の夫人。女房達も、美しい明石の浦を見ることもなくことを寂しく思った。心に沁みる秋であった。

これまでもすでに同じ家には住まず 別居の形になっていたのであるから、 明石が上京したあとに 自分だけが残る必要も認めてはいないものの、 地方にいる間だけの仮の夫婦の中でも 月日が重なって馴染《なじみ》の深くなった人たちは 別れがたいものに違いな…

【源氏物語583 第18帖 松風 7】明石の君が源氏に迎えられることは願っていたことではあるが、娘達と別れて暮らす寂しさに入道は朝も昼も物思いに呆としていた。

源氏物語583 第18帖 松風7 です。表題間違えてすみません 免れがたい因縁に引かれて いよいよそこを去る時になったのであると思うと、 女の心は馴染《なじみ》深い明石の浦に 名残《なごり》が惜しまれた。 父の入道を一人ぼっちで残すことも苦痛であった。 …

【源氏物語582 第18帖 松風 6】源氏の作っている御堂は大覚寺の南にあたる所である。明石の君の山荘は、大井川沿いの松の多い中 素朴に建てられている。源氏は 親しい者を明石に迎えに立たせた。

惟光《これみつ》が源氏の隠し事に関係しないことはなくて、 明石の上京の件についても 源氏はこの人にまず打ち明けて、 さっそく大井へ山荘を見にやり、 源氏のほうで用意しておくことは皆させた。 「ながめのよい所でございまして、 やはりまた海岸のよう…

【源氏物語581 第18帖 松風 5】明石入道から 修繕された大堰の山荘を明石の君の家とすると知らせが来た。聡明なやり方だと源氏は思った。

「私のほうでは田地などいらない。 これまでどおりに君は思っておればいい。 別荘その他の証券は私のほうにあるが、 もう世捨て人になってしまってからは、 財産の権利も義務も忘れてしまって、 留守居《るすい》料も払ってあげなかったが、 そのうち精算し…

【源氏物語580 第18帖 松風4】大堰の別荘の預かり人は、自身の物のようにしている田地などを回収されないかと危うがって、権利を主張する。

「もう長い間持ち主がおいでにならない別荘になって、 ひどく荒れたものですから、 私たちは下屋《しもや》のほうに住んでおりますが、 しかし今年の春ごろから内大臣さんが 近くへ御堂《みどう》の普請をお始めになりまして、 あすこはもう人がたくさん来る…

【源氏物語579 第18帖 松風 3】入道夫人の祖父の中務卿親王の別荘が、嵯峨の大井川の側にあった。入道は、明石の上と姫君の住まいにしようと手入れをする。

入道夫人の祖父の中務卿《なかつかさきょう》親王が 昔持っておいでになった別荘が 嵯峨《さが》の大井川のそばにあって、 宮家の相続者にしかとした人がないままに 別荘などもそのままに荒廃させてあるのを思い出して、 親王の時からずっと預かり人のように…

【源氏物語578 第18帖 松風2】源氏から上京を促されるものの、明石の君は、身分の低さを不安に思う。姫君を田舎に置くこともできない。明石の君も両親も煩悶する。

明石へは始終手紙が送られた。 このごろは上京を促すことばかりを言う源氏であった。 女はまだ躊躇《ちゅうちょ》をしているのである。 わが身の上のかいなさをよく知っていて、 自分などとは比べられぬ都の貴女《きじょ》たちでさえ 捨てられるのでもなく、…

【源氏物語577 第18帖 松風1】東の院が落成したので 花散里をはじめ夫人達を源氏は移らせた。中央の寝殿は源氏が休憩したり客を招いたりした。

東の院が美々しく落成したので、 花散里《はなちるさと》といわれていた夫人を源氏は移らせた。 西の対から渡殿《わたどの》へかけてをその居所に取って、 事務の扱い所、家司《けいし》の詰め所なども備わった、 源氏の夫人の一人としての体面を 損じないよ…

源氏物語 第18帖 松風(まつかぜ)

光源氏31歳秋の話。 二条東院が完成し、源氏は西の対に花散里を移らせた。 東の対には明石の御方を迎えるつもりだったが、 明石入道は源氏に文で 「娘・明石の御方も住みなれたここを離れて、 上洛することには不安を抱えています。」 と伝えた。 大堰川近く…

【源氏物語576 第17帖 絵合29 完】源氏は、郊外に御堂を建てさせる。仏勤めにも思いがあるが、子ども達の教育を大切にしたい気持ちもある。

宮中の儀式などもこの御代から始まったというものを 起こそうと源氏は思うのであった。 絵合わせなどという催しでも単なる遊戯でなく、 美術の鑑賞の会にまで引き上げて行なわれるような 盛りの御代が現出したわけである。 しかも源氏は人生の無常を深く思っ…

【源氏物語575 第17帖 絵合28】帝は絵合に満足あそばしたご様子であった。中納言は娘の女御に対するご愛情は特別と思いつつも不安になる。

「須磨、明石の二巻は女院の御座右に差し上げていただきたい」 こう源氏は申し出た。 女院はこの二巻の前後の物も皆見たく思召すとのことであったが、 「またおりを見まして」 と源氏は御挨拶《あいさつ》を申した。 帝が絵合わせに満足あそばした御様子であ…

【源氏物語574 第17帖 絵合27 】清い明るさに満ちた夜、中納言が和琴 帥の宮は十三弦 源氏は琴 琵琶の役は少将の命婦 音楽の素養のあるものが召され拍子を取った。

宮はしまいには戯談《じょうだん》をお言いになったが 酔い泣きなのか、故院のお話をされてしおれておしまいになった。 二十幾日の月が出てまだここへはさしてこないのであるが、 空には清い明るさが満ちていた。 書司に保管されてある楽器が召し寄せられて…

【源氏物語573 第17帖 絵合26】音楽に優れた才能を持ち、更に絵にも秀でていることについて感心をする帥の宮

「何の芸でも頭がなくては習えませんが、 それでもどの芸にも皆師匠があって、 導く道ができているものですから、 深さ浅さは別問題として、 師匠の真似《まね》をして一通りにやるだけのことは だれにもまずできるでしょう。 ただ字を書くことと囲碁だけは …

【源氏物語572 第17帖 絵合 25】桐壺院の学問にする考えや 源氏自身の絵に対する思いを 帥の宮に語る。

明け方近くなって古い回想から湿った心持ちになった源氏は 杯を取りながら帥《そつ》の宮に語った。 「私は子供の時代から学問を熱心にしていましたが、 詩文の方面に進む傾向があると御覧になったのですか、 院がこうおっしゃいました、 文学というものは世…

【源氏物語571 第17帖 絵合24】須磨の巻が出たときに、判者の親王をはじめとして皆 涙を流した。同情しながら想像したより 絵によって知る須磨はもっと悲しいものであった。

最後の番に左から須磨の巻が出てきたことによって 中納言の胸は騒ぎ出した。 右もことに最後によい絵巻が用意されていたのであるが、 源氏のような天才が 清澄な心境に達した時に写生した風景画は 何者の追随をも許さない。 判者の親王をはじめとしてだれも…

【源氏物語570 第17帖 絵合23】女院は絵にもお詳しい。判者が判定しきれない時などに 短い言葉の下されることも感じの良いことであった

評判どおりに入念に描かれた絵巻が多かった。 優劣をにわかにお決めになるのは困難なようである。 例の四季を描いた絵も、 大家がよい題材を選んで筆力も雄健に描き流した物は 価値が高いように見えるが、 今度は皆紙絵であるから、 山水画の豊かに描かれた…

【源氏物語569 第17帖 絵合22】今日の絵合せは、芸術に造詣の深い太宰帥《だざいのそつ》の宮が、審判役を下命された。

右は沈の木の箱に 浅香《せんこう》の下机《したづくえ》、 帛紗は青地の高麗錦《こうらいにしき》、 机の脚《あし》の組み紐の飾りがはなやかであった。 侍童らは青色に柳の色の汗袗《かざみ》、 山吹襲《やまぶきかさね》の袙《あこめ》を着ていた。 双方…

【源氏物語568 第17帖 絵合21】絵合わせの日、控えの座敷に臨時の玉座が造られ北側、南側と分かれて判者が座についた。

定められた絵合わせの日になると、 それはいくぶんにわかなことではあったが、 おもしろく意匠をした風流な包みになって、 左右の絵が会場へ持ち出された。 女官たちの控え座敷に臨時の玉座が作られて、 北側、南側と分かれて判者が座についた。 それは清涼…

【源氏物語567 第17帖 絵合20】院のお歌に返事を差し上げないのは恐れ多い。斎宮女御は儀式の簪の端を折ってそれに書いた。院は身に沁んでご覧になった。

大極殿の御輿《みこし》の寄せてある神々しい所に御歌があった。 身こそかく しめの外《ほか》なれ そのかみの 心のうちを 忘れしもせず と言うのである。 返事を差し上げないこともおそれおおいことであると思われて、 斎宮の女御は苦しく思いながら、 昔の…

【源氏物語 第四帖 夕顔 ゆうがお】源氏17歳夏から10月。 儚い夕顔の花のような女君との出会いと 哀しい別れ🪷

【源氏物語 第四帖 夕顔(ゆうがお)】 【The Tale of Genji Chapter 4 Yugao (Evening Faces)】 源氏17歳夏から10月. 従者藤原惟光の母親でもある乳母の見舞いの折、 隣の垣根に咲くユウガオの花に目を留めた源氏が取りにやらせたところ、 邸の住人が和歌…

【源氏物語566 第17帖 絵合19】朱雀院も素晴らしい絵を梅壺にご寄贈遊ばされた。画伯に製作させた大極殿の御櫛の式の立派な絵もあった

院もこの勝負のことをお聞きになって、 梅壺へ多くの絵を御寄贈あそばされた。 宮中で一年じゅうにある儀式の中のおもしろいのを 昔の名家が描いて、 延喜《えんぎ》の帝が御自身で説明をお添えになった 古い巻き物のほかに、 御自身の御代《みよ》の宮廷に…