ほかから聞こえて来て不快にさせてはと思って、
源氏は明石の君の出産の話をした。
「人生は意地の悪いものですね。
そうありたいと思うあなたにはできそうでなくて、
そんな所に子が生まれるなどとは。
しかも女の子ができたのだからね、
悲観してしまう。
うっちゃって置いてもいいのだけれど、
そうもできないことでね、
親であって見ればね。
京へ呼び寄せてあなたに見せてあげましょう。
憎んではいけませんよ」
「いつも私がそんな女であるとしてあなたに言われるかと思うと
私自身もいやになります。
けれど女が恨みやすい性質になるのはこんなことばかりが
あるからなのでしょう」
と女王《にょおう》は怨《うら》んだ。
「そう、だれがそんな習慣をつけたのだろう。
あなたは実際私の心持ちをわかろうとしてくれない。
私の思っていないことを忖度《そんたく》して
恨んでいるから私としては悲しくなる」
と言っているうちに源氏は涙ぐんでしまった。
🍂🎼木枯らしの帰路 written by キュス🍂
少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷 https://syounagon-web-1.jimdosite.com
🪷聴く古典文学 少納言チャンネルは、聴く古典文学動画です。チャンネル登録お願いします🪷
[rakuten:f402311-nakagawa:10000343:detail]