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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

平家物語56 第3巻 公卿揃〈くぎょうぞろえ〉〜The Tale of the Heike💐

乳母には、平大納言時忠の奥方が選ばれた。

これは後に帥典侍《そつのすけ》と呼ばれた人である。

 法皇はやがて、御所へ還御になったが、

清盛は余りの嬉しさに、お土産にと、砂金一千両、

富士綿二千両を進呈したのは、

今までに類のないことだけに、

人々に異様な感じを与えたようである。

 今度の御産《ごさん》にあたっては、

変ったことがいろいろあった。

その第一は、何といっても、法皇が、自ら祈祷者として、

祈られたことだったろう。

その二には、后《きさき》御産の行事として、

御殿の棟から甑《こしき》を落す習慣があり、

皇子の時は南、皇女の時は北と決まっていたが、

この時には間違って北に落してしまい、

慌てて落し直すという珍事《ちんじ》があった。

悪い前兆でなければよいが、と思った人もいたらしい。

 一番面白かったのは、

清盛の日頃に似合わぬあわて方であった。

重盛は、例によって、

少しも騒がないところは立派だったが、

気の毒だったのは、宗盛が奥方を難産で失い、

職を一時やめて引こもってしまったことである。

この奥方は、最初、

皇子の乳母になる予定の人であっただけに、

突然の逝去は惜しまれた。

 面白い話では、七人の陰陽師《おんようし》が呼ばれて、

千度のお祓《はらい》をした際のことだったが、

中に掃部頭時晴《かもんのかみときはる》という老人がいた。

供も少く人の群を、かきわけかきわけ進む内に、

右の沓《くつ》を踏み抜かれてしまった。

あわててまごまごしている内に、

冠までも落されてもとどりがむき出しになってしまった。

きちんと礼装をつけた老人が、

冠をとられてまごついている格好はどうにもおかしく、

見ていた公卿殿上人はわあっと笑い出してしまった。

 とにかく今度のお産には、

その他いろいろ不思議なこともあったが、

その時はたいして気にもならなかったことが、

後から考えると、成るほどと思うことが多かった。

 公卿殿上人は続々お産のお祝に、

清盛邸へ集り、その時不参の人々も後からもれなく、

お祝に集ったようである。

💐🎼Spirito written by のる

 

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