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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

【源氏物語564 第17帖 絵合17】伊勢と正三位が合わされた。この論争も一通りでは済まなかったが、女院は左方の肩をお持ちになる。

次は伊勢《いせ》物語と正三位《しょうさんみ》が合わされた。 この論争も一通りでは済まない。 今度も右は見た目がおもしろくて刺戟的で宮中の模様も描かれてあるし、 現代に縁の多い場所や人が写されてある点でよさそうには見えた。 平典侍が言った。 「伊…

【源氏物語563 第17帖 絵合16】宇津保物語の俊蔭の巻は芸術を求める心が強くて素晴らしい音楽家になったという筋が優れているなどと右方は主張する。

「俊蔭は暴風と波に 弄《もてあそ》ばれて異境を漂泊しても 芸術を求める心が強くて、 しまいには外国にも日本にもない音楽者になったという筋が 竹取物語よりずっとすぐれております。 それに絵も日本と外国との対照が おもしろく扱われている点ですぐれて…

【源氏物語562 第17帖 絵合15】女院は興味深く思召して、日本最初の小説である竹取の翁と空穂の俊蔭の巻を左右にして論評をお聞きになった。

思い思いのことを主張する弁論を 女院は興味深く思召《おぼしめ》して、 まず日本最初の小説である竹取の翁《おきな》と 空穂《うつぼ》の俊蔭《としかげ》の巻を左右にして 論評をお聞きになった。 「竹取の老人と同じように古くなった小説ではあっても、 …

【源氏物語561 第17帖 絵合14】宮中の女官たちも 絵について論じることに夢中になっていた。藤壺の中宮は左右に分け 説を闘わせてご覧になった。

小説を絵にした物は、 見る人がすでに心に作っている幻想を それに加えてみることによって絵の効果が 倍加されるものであるから その種類の物が多い。 梅壺《うめつぼ》の王女御《おうにょご》のほうのは 古典的な価値の定まった物を絵にしたのが多く、 弘徽…

【源氏物語560 第17帖 絵合13】権中納言(頭中将)は意匠を凝らした傑作をこしらえる。勝負をするのも興味があって良いことだと源氏が言い出した。

源氏が絵を集めていると聞いて、 権中納言はいっそう自家で傑作をこしらえることに努力した。 巻物の軸、紐《ひも》の装幀《そうてい》にも 意匠を凝らしているのである。 それは三月の十日ごろのことであったから、 最もうららかな好季節で、 人の心ものび…

【源氏物語559 第17帖 絵合12】源氏と紫の上は、源氏の描いた絵を見て選んだ。紫の上は源氏の辛い時代を思いやり、源氏はその心持ちを哀れに思った。

夫人は今まで源氏の見せなかったことを恨んで言った。 「一人居《ゐ》て 眺めしよりは 海人《あま》の住む かたを書きてぞ 見るべかりける あなたにはこんな慰めがおありになったのですわね」 源氏は夫人の心持ちを哀れに思って言った。 「うきめ見し そのを…

高麗人《こまうど》の観相【源氏物語 第1帖 桐壺 8の2】鴻臚館にて皇子の相を観てもらう。帝は、将来を考え源氏の姓を賜ることにした。

その時分に高麗人《こまうど》が来朝した中に、上手《じょうず》な人相見の者が混じっていた。帝はそれをお聞きになったが、宮中へお呼びになることは亭子院のお誡《いまし》めがあっておできにならず、だれにも秘密にして皇子のお世話役のようになっている…

【源氏物語558 第17帖 絵合11】源氏は、絵を差し上げますと奏した。紫の上と絵を見分けた。長恨歌、王昭君などは面白いが 縁起はよろしくないので省くことにした。

「隠そう隠そうとしてあまり御前へ出さずに 陛下をお悩ましするなどということはけしからんことだ」 と源氏は言って、 帝へは 「私の所にも古い絵はたくさんございますから 差し上げることにいたしましょう」 と奏して、 源氏は二条の院の古画新画のはいった…

【源氏物語557 第17帖 絵合10】弘徽殿ではよい小説の内容を絵にさせて帝にお目にかけた。長くは 御前に出しておかずに すぐしまわせてしまうのである。

「小説を題にして描いた絵が最もおもしろい」 と言って、 権中納言は選んだよい小説の内容を絵にさせているのである。 一年十二季の絵も平凡でない文学的価値のある詞《ことば》書きをつけて 帝のお目にかけた。 おもしろい物であるがそれは非常に大事な物ら…

【源氏物語556 第17帖 絵合9】帝は何よりも絵に興味を持っておいでになり、斎宮の女御は絵をよく描くので 帝はそれがお気に入ってご寵愛も盛んになった。

こんなふうに隙間《すきま》もないふうに 二人の女御が侍しているのであったから、 兵部卿《ひょうぶきょう》の宮は女王の後宮入りを 実現させにくくて煩悶《はんもん》をしておいでになったが、 帝が青年におなりになったなら、 外戚の自分の娘を疎外あそば…

【源氏物語555 第17帖 絵合8】院は櫛の箱の返歌をご覧になってから いっそう恋しく思われた。前斎宮の話題が出た折、院の御表情に失恋の深い御苦痛が現われてきたのをお気の毒に思った。

院は櫛《くし》の箱の返歌を御覧になってから いっそう恋しく思召された。 ちょうどそのころに源氏は院へ伺候した。 親しくお話を申し上げているうちに、 斎宮が下向されたことから、 院の御代《みよ》の斎宮の出発の儀式にお話が行った。 院も回想していろ…

【源氏物語554 第17帖 絵合7】斎宮の女御は 鷹揚でおとなしい 小柄で若々しいお方であった。帝は 弘徽殿の女御と斎宮の女御を半々に召される。

このごろは女院も御所に来ておいでになった。 帝は新しい女御の参ることをお聞きになって、 少年らしく興奮しておいでになった。 御年齢よりはずっと大人びた方なのである。 女院も、 「りっぱな方が女御に上がって来られるのですから、 お気をおつけになっ…

【源氏物語434 第14帖 澪標8】致仕の左大臣も源氏の説得に断りきれず太政大臣となった。この人に栄えの春がやってきたのである。

「私は病気によっていったん職をお返しした人間なのですから、 今日はまして年も老いてしまったし、 そうした重任に当たることなどはだめです」 と大臣は言って引き受けない。 「支那《しな》でも政界の混沌《こんとん》としている時代は 退いて隠者になって…

【源氏物語553 第17帖 絵合 6】華やかな女御としての前斎宮。御息所が生きておられたなら どれほど喜ぶであろう。あれほどの人を失ったことは この世の損失とさえ思った。

養父として一切を源氏が世話していることにしては 院へ済まないという遠慮から、 単に好意のある態度を取っているというふうを示していた。 もとからよい女房の多い宮であったから、 実家に引いていがちだった人たちも皆出て来て、 すでにはなやかな女御の形…

【源氏物語552 第17帖 絵合5】朱雀院と前斎宮は相応しい配偶と思われる。帝の女御におさせすることを申し訳なく思う源氏。

お使いの幾人かはそれぞれ差のあるいただき物をして帰った。 源氏は斎宮の御返歌を知りたかったのであるが、 それも見たいとは言えなかった。 院は美男でいらせられるし、 女王もそれにふさわしい配偶のように思われる、 少年でいらせられる帝の女御《にょご…

【源氏物語551 第17帖 絵合4】宮は美しい院が別れを惜しんでお泣きになるのを乙女心にもおいたわしく思ったことが目の前に浮かんだ。

「この御返歌はどうなさるだろう、 またお手紙もあったでしょうが お答えにならないではいけないでしょう」 などと源氏は言ってもいたが、 女房たちはお手紙だけは源氏に見せることをしなかった。 宮は気分がおすぐれにならないで、 御返歌をしようとされな…

【源氏物語550 第17帖 絵合3】源氏は、朱雀院が恋した前斎宮を冷泉帝の後宮に入れたことを申し訳ないと考え込んでいた。

閑暇《かんか》な地位へお退《の》きになった現今の院は、 何事もなしうる主権に離れた寂しさというようなものを お感じにならないであろうか、 自分であれば 世の中が恨めしくなるに違いないなどと思うと心が苦しくて、 何故女王を宮中へ入れるようなよけい…

【源氏物語387 第13帖 明石49】源氏は明石の君のもとを訪ねに行く。月夜の景色が美しい。紫の上が恋しい。この馬に乗って京まで行ってしまいたい源氏であった。

風流がりな男であると思いながら源氏は 直衣《のうし》をきれいに着かえて、 夜がふけてから出かけた。 よい車も用意されてあったが、 目だたせぬために馬で行くのである。 惟光などばかりの一人二人の供をつれただけである。 山手の家はやや遠く離れていた…

【源氏物語549 第17帖 絵合2】源氏は、朱雀院の贈り物の櫛の箱を拝見した。飾りの造花に御歌か書かれてあった。院の 前斎宮への恋心を思うと 心の痛くなるのを覚えた。

源氏はただ櫛の箱だけを丁寧に拝見した。 繊細な技巧でできた結構な品である。 挿《さ》し櫛のはいった小箱につけられた飾りの造花に 御歌が書かれてあった。 別れ路《ぢ》に 添へし小櫛をかごとにて はるけき中と 神やいさめし この御歌に源氏は心の痛くな…

【源氏物語548 第17帖 絵合 1】女院は前斎宮の入内を熱心に促しておいでになった。朱雀院は残念がっておいでになったが 当日に立派な贈り物が届いた💐

前斎宮《ぜんさいぐう》の入内《じゅだい》を 女院は熱心に促しておいでになった。 こまごまとした入用の品々もあろうが すべてを引き受けてする人物がついていないことは気の毒であると、 源氏は思いながらも院への御遠慮があって、 今度は二条の院へお移し…

源氏物語 第十七帖 絵合(えあわせ)〜源氏が後見する梅壺女御(前斎宮)と権中納言(頭中将)の娘の弘徽殿女御‥帝の午前で物語絵合せをする🪷

内大臣光源氏の後見のもと、 斎宮は入内して梅壺に入り女御となった。 若い冷泉帝は始め年上の斎宮女御になじめなかったが、 絵画という共通の趣味をきっかけに寵愛を増す。 先に娘を弘徽殿女御として入内させていた権中納言(頭中将)はこれを知り、 負けじ…

🪷【源氏物語547 第16帖 関屋8 完】空蝉は、夫の常陸介亡き後、誰にも相談をせずに尼になってしまった。

息子たちが、当分は、 「あんなに父が頼んでいったのだから」 と表面だけでも言っていてくれたが、 空蝉の堪えられないような意地の悪さが追い追いに見えて来た。 世間ありきたりの法則どおりに 継母はこうして苦しめられるのであると思って、 空蝉はすべて…

【源氏物語546 第16帖 関屋7】病床の常陸介(空蝉の夫)は、残される空蝉心配し せめて愛妻のために魂だけをこの世に残して置きたいと願ったが、亡くなってしまった。

恨めしかった点でも、 恋しかった点でも源氏には忘れがたい人であったから、 なお おりおりは 空蝉の心を動かそうとする手紙を書いた。 そのうち常陸介《ひたちのすけ》は 老齢のせいか病気ばかりするようになって、 前途を心細がり、 悲観してしまい、 息子…

【源氏物語545 第16帖 関屋6】源氏は、右衛門佐(小君)に手紙をことづけた。久しぶりに得た源氏の文字に空蝉は返事を書いた。

「あれから長い時間がたっていて、 きまりの悪い気もするが、 忘れない私の心ではいつも現在の恋人のつもりでいるよ。 でもこんなことをしてはいっそう嫌われるのではないかね」 こう言って源氏は渡した。 佐はもったいない気がしながら受け取って姉の所へ持…

【源氏物語544 第16帖 関屋5】右衛門佐(小君)を呼び出し、姉の空蝉に手紙をことづてたいと言った。恋を思い捨てない源氏に右衛門佐は驚いていた。

佐《すけ》を呼び出して、 源氏は姉君へ手紙をことづてたいと言った。 他の人ならもう忘れていそうな恋を、 なおも思い捨てない源氏に右衛門佐は驚いていた。 あの日私は、 あなたとの縁は よくよく前生で堅く結ばれて来たものであろうと感じましたが、 あな…

【源氏物語543 第16帖 関屋4】右衛門佐(小君)と紀伊守は、右近衛丞を解職され 源氏と共に須磨に行った兄弟が特別に取り立てられているのを見て、過去の非を悔いた。

源氏が石山寺を出る日に右衛門佐が迎えに来た。 源氏に従って寺へ来ずに、 姉夫婦といっしょに京へはいってしまったことを 佐《すけ》は謝した。 少年の時から非常に源氏に愛されていて、 源氏の推薦で官につくこともできた恩もあるのであるが、 源氏の免職…

【源氏物語542 第16帖 関屋3】源氏は、今は右衛門佐になっている昔の小君をよんで 今は空蝉について話した。女君も色々な思いが浮かんできて煩悶した。

九月の三十日であったから、 山の紅葉は濃く淡《うす》く紅を重ねた間に、 霜枯れの草の黄が混じって見渡される逢坂山の関の口から、 また さっと一度に出て来た 襖姿《あおすがた》の侍たちの旅装の厚織物や くくり染めなどは一種の美をなしていた。 源氏の…

【源氏物語541 第16帖 関屋2】常陸介(前の伊予介)と空蝉の一行は打出の浜に来る頃に、源氏は粟田山を越えたということで 一旦下馬して源氏の一行見送ろうとした。

京から以前 紀伊守《きいのかみ》であった息子 その他の人が迎えに来ていて 源氏の石山詣《もう》でを告げた。 途中が混雑するであろうから、 こちらは早く逢坂山を越えておこうとして、 常陸介は夜明けに近江《おうみ》の宿を立って 道を急いだのであるが、…

🌿源氏物語 第15帖 蓬生(よもぎう)〜光源氏が須磨へ蟄居してから帰京後までの話。

光源氏が須磨へ蟄居してから帰京後までの話。 源氏が都を追われ、後見を失った末摘花の生活は困窮を極めていた。 邸は荒れ果てて召使たちも去り、 受領の北の方となっている叔母が姫を娘の女房に迎えようとするが、 末摘花は応じない。 やがて源氏が帰京した…

【源氏物語540 第16帖 関屋1】石山寺に参詣に来た源氏の君、空蝉の君は逢坂の関ですれ違う🪷

以前の伊予介《いよのすけ》は 院がお崩《かく》れになった翌年 常陸介《ひたちのすけ》になって任地へ下ったので、 昔の帚木《ははきぎ》もつれて行った。 源氏が須磨《すま》へ引きこもった噂《うわさ》も、 遠い国で聞いて、悲しく思いやらないのではなか…