京の間だけは車でやった。
親しい侍を一人つけて、
あくまでも秘密のうちに乳母《めのと》は送られたのである。
守り刀ようの姫君の物、若い母親への多くの贈り物等が
乳母に託されたのであった。
乳母にも十分の金品が支給されてあった。
源氏は入道がどんなに孫を大事がっていることであろうと、
いろいろな場合を想像することで微笑がされた。
母になった恋人も哀れに思いやられた。
このごろの源氏の心は明石の浦へ傾き尽くしていた。
手紙にも姫君を粗略にせぬようにと
繰り返し繰り返し誡《いまし》めてあった。
いつしかも 袖《そで》うちかけん をとめ子が
世をへて撫《な》でん 岩のおひさき
こんな歌も送ったのである。
🌸🎼優しい呼吸で(Breath,tenderly) written by蒲鉾さちこ🌸
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