2023-07-18から1日間の記事一覧
源氏は東の院は本邸でなく、 そんな人たちを集めて住ませようと 建築をさせているのであったから、 もし理想どおりにかしずき娘ができてくることがあったら、 顧問格の女として才女の五節などは 必要な人物であると源氏は思っていた。 東の院はおもしろい設…
「なぜあの時に私は非常に悲しいことだと思ったのでしょう。 私などはあなたに幸福の帰って来た今だっても やはり寂しいのでしたのに」 と恨みともなしに おおように言っているのが可憐《かれん》であった。 例のように源氏は言葉を尽くして女を慰めていた。…
水鶏《くいな》が近くで鳴くのを聞いて、 水鶏だに 驚かさずば いかにして 荒れたる宿に 月を入れまし なつかしい調子で言うともなくこう言う女が 感じよく源氏に思われた。 どの人にも自身を惹《ひ》く力のあるのを知って 源氏は苦しかった。 「おしなべて …