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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【源氏物語687 第21帖 乙女42】姉に夕霧の手紙を渡した息子を咎める惟光。若君と知ると笑顔になって「‥女官のお勤めをさせるより貴公子に愛される方が良い。私も明石の入道になるかな」と言う。

五節の弟で若君にも丁寧に臣礼を取ってくる惟光の子に、 ある日逢った若君は平生以上に親しく話してやったあとで言った。 「五節はいつ御所へはいるの」 「今年のうちだということです」 「顔がよかったから私はあの人が好きになった。 君は姉さんだから毎日…

【私本太平記3 第1巻 下天地蔵③〈げてんじぞう〉】🍶現執権高時の田楽好きも、狂に近いが、闘犬好みは、もっと度をこしたものである。鎌倉府内では、月十二回の上覧闘犬があり、武家やしきでさえ闘犬を養って‥

十数名の武者は、 みな小具足《こぐそく》の旅姿だった。 といってもあらましは、 足軽程度の人態《にんてい》にすぎない。 争いあって、一碗ずつの酒を持ち、 干魚か何かを取ってはムシャムシャ食う。 そしてやや腹の虫がおさまり出すと、 こんどは野卑な戯…

【平家物語87 第4巻 信連合戦②〈のぶつらかっせん〉】🗡️高倉通りへの門もすべて開け放して 信連一人悠然と敵を待っていた。この夜の信連の装束は、萌黄匂の腹巻をつけ、には薄青の狩衣、腰には衛府の太刀。やがて午前零時、騎馬の音が門外に近づいた。

信連を信達と間違えております。信連合戦が正しいです 御所の三条大路に面した門、 高倉通りへの門もすべて開け放して、 信連一人悠然と敵を待っていた。 この夜の信連の装束は、 萌黄匂《もえぎにおい》の腹巻をつけ、 上には薄青の狩衣《かりぎぬ》、 腰に…

【源氏物語686 第21帖 乙女41】惟光《これみつ》は典侍《ないしのすけ》の職が一つあいてある補充に娘を採用されたいと申し出た。源氏もその希望を叶えると聞いて 若君は聞いて残念に思った。

五節の舞い姫は皆とどまって 宮中の奉仕をするようとの仰せであったが、 いったんは皆退出させて、 近江守《おうみのかみ》のは唐崎《からさき》、 摂津守の子は浪速で祓いをさせたいと願って自宅へ帰った。 大納言も別の形式で宮仕えに差し上げることを奏上…

【私本太平記 2 第1巻 下天地蔵②〈げてんじぞう〉】🍶顎の強い線や、長すぎるほど長い眉毛、大きな鼻梁がどこかのんびり間のびしている所など、西の顔でもなし、京顔でもない。坂東者に多い特有な骨柄なのだ。

「ああ、よいここちだった。 右馬介、よほど長く眠ったのか、わしは」 又太郎は伸びをした。 その手が、ついでに、曲がっていた烏帽子を直した。 やっと現《うつつ》に返った眼でもある。 その眼もとには、人をひき込まずにいない何かがあった。 魔魅《まみ…

【平家物語86 第4巻 信連合戦①〈のぶつらかっせん〉】🌺この日五月十五日、満月である。 三条の御所で高倉宮は、雲間にかくれ移る皓々《こうこう》たる月を眺めていた。

信連を信達と間違えております。信連合戦が正しいです この日五月十五日、満月である。 三条の御所で高倉宮は、 雲間にかくれ移る皓々《こうこう》たる月を眺めていた。 遥か東国に下した密使の行方、 そして源氏勢の反応、 あるいは俄かに可能性をおびて 身…

【源氏物語685 第21帖 乙女40】源氏も参内して陪観したが、五節の舞い姫の少女が目にとまった昔を思い出した。辰の日の夕方に大弐《だいに》の五節へ源氏は手紙を書いた。

源氏も参内して陪観したが、 五節の舞い姫の少女が目にとまった昔を思い出した。 辰の日の夕方に大弐《だいに》の五節へ源氏は手紙を書いた。 内容が想像されないでもない。 少女子《をとめご》も さびぬらし 天つ袖 ふるき世の友 よはひ経ぬれば 五節は今日…

【源氏物語684 第21帖 乙女39】浅葱《あさぎ》の袍を着て行くことが嫌で、若君は御所へ行かなかったが 五節を機会に、好みの色の直衣《のうし》を着て宮中へ出入りすることを許された。

浅葱《あさぎ》の袍《ほう》を着て行くことがいやで、 若君は御所へ行くこともしなかったが、 五節を機会に、 好みの色の直衣《のうし》を着て宮中へ出入りすることを 若君は許されたので、その夜から御所へも行った。 まだ小柄な美少年は、 若公達《わかき…

【平家物語85 第4巻 いたちの沙汰】鳥羽殿の中で鼬《いたち》がおびただしく走り騒いだ。常にないことである。法皇は何の兆《きざし》かと自ら占われて、近江守仲兼《おうみのかみなかかね》を御前に呼ばれた。

さて、後白河法皇は、 成親、俊寛のように自分も遠い国、 遥かな小島に流されるのではなかろうかと、 お考えになっていたが、 そういうこともないまま鳥羽殿に 治承四年までお暮しになっていた。 この年の五月十二日の正午《ひる》ごろ、 鳥羽殿の中で鼬《い…

【私本太平記1第1巻 下天地蔵①〈げてんじぞう〉】🍶まだ除夜の鐘には、少し間がある。とまれ、今年も大晦日《おおつごもり》まで無事に暮れた。だが、あしたからの来る年は。洛中の耳も、大極殿の佇まいも‥

まだ除夜の鐘には、すこし間がある。 とまれ、今年も大晦日《おおつごもり》まで無事に暮れた。 だが、あしたからの来る年は。 洛中の耳も、大極殿《だいごくでん》のたたずまいも、 やがての鐘を、 偉大な予言者の声にでも触《ふ》れるように、 霜白々と、…

【平家物語84 第4巻 源氏そろえ④】源氏の陣にはかく射よ、平家の者にはこう射よと、互にゆずらぬ弓から放たれる矢は絶え間なく飛び交い、射手のあげる雄叫びは衰えることなく続き、鏑矢のうなりは鳴りひびいて、死闘は三日間続いた。

このころ、熊野別当|湛増《たんぞう》は、 平家の重恩を受けていたが、 どこからこの令旨のことをもれ聞いたのか、 「新宮の十郎義盛は高倉宮の令旨を抱いて、 すでに謀叛を起さんとしている。 那智、新宮の者どもは、 定めし源氏の味方をするであろうが、 …

【源氏物語683 第21帖 乙女38】舞姫の仮の休息所を 若君はそっとのぞいて見た。苦しそうにして舞い姫はからだを横向きに長くしていた。ちょうど雲井の雁と同じほどの年ごろであった。

大学生の若君は失恋の悲しみに胸が閉じられて、 何にも興味が持てないほど心がめいって、 書物も読む気のしないほどの気分が いくぶん慰められるかもしれぬと、 五節の夜は二条の院に行っていた。 風采《ふうさい》がよくて落ち着いた、 艶《えん》な姿の少…

【平家物語83 第4巻 源氏そろえ③】頼政の弁は熱を帯びる「宮が思し召し給うて令旨を下されるなら、雌伏する諸国の源氏は令旨を奉じて 夜を日についで京に馳せ参ずるは必定、平家滅亡に時日は要しますまい‥」

頼政の弁は熱をおびてきた。 あたかも諸国に兵を蓄えてひそむ源氏の網の目に、 平家がしぼられて行くような感さえ、 宮に与えたかも知れぬ。 頼政は語調を変えてつづけた。 「われら源家のもの、朝敵を武力で平らげ、 宿望を達した点においては、平家に一向…

【源氏物語682 第21帖 乙女37】下《しも》仕え幾人を優れた者を多数の中から選ぶことになった。陛下が五節《ごせち》の童女だけを御覧になる日の練習に縁側を歩かせて見て決めようと源氏はした。

舞の稽古《けいこ》などは自宅でよく習わせて、 舞姫を直接世話するいわゆるかしずきの幾人だけは その家で選んだのをつけて、 初めの日の夕方ごろに二条の院へ送った。 なお童女幾人、 下《しも》仕え幾人が付き添いに必要なのであるから、 二条の院、東の…

【平家物語82 第4巻 源氏そろえ②】謀叛成功への現実的証拠ともいうべき 反平家勢力の人名表である。「まず、この京に隠れて平家をうかがうもの、出羽前司光信の子、伊賀守光基‥

謀叛成功への現実的証拠ともいうべき 反平家勢力の人名表である。 「まず、この京にかくれて平家をうかがうもの、 出羽前司光信《でわのぜんじみつのぶ》の子、 伊賀守光基《いがのかみみつもと》、 出羽|判官光長《はんがんみつなが》、 出羽|蔵人光茂《…

【平家物語81 第4巻 源氏そろえ①】不審気な宮の面をみつめながら低く語る頼政の声は、宮の心に強くひびいた。「君は、天照大神より四十八世の御子孫、神武天皇より七十八代にあたらせられる尊い御方。

そのころ、後白河法皇の第二皇子、 以仁《もちひと》親王は、 三条の高倉に住んでいたので高倉宮とよばれていた。 彼は十五歳の年に、近衛河原の大宮の御所で、 世を忍ぶように、ひっそり元服した。 宮は才芸、人に勝れ、ご筆跡もまことにうるわしく、 側近…

【源氏物語681 第21帖 乙女36】源氏は今年の五節の舞姫に、摂津守兼左京大夫である惟光《これみつ》の娘で美人だと言われている子を選んだ。

今年源氏は五節《ごせち》の舞い姫を一人出すのであった。 たいした仕度《したく》というものではないが、 付き添いの童女の衣裳《いしょう》などを 日が近づくので用意させていた。 東の院の花散里《はなちるさと》夫人は、 舞い姫の宮中へはいる夜の、 付…

【太平記インデックス】〜The Taiheiki 私本太平記 吉川英治🌺

まだ除夜の鐘には、すこし間がある。 とまれ、ことしも大晦日《おおつごもり》まで無事に暮れた。 だが、あしたからの来る年は。 洛中の耳も、大極殿《だいごくでん》のたたずまいも、 やがての鐘を、偉大な予言者の声にでも触《ふ》れるように、 霜白々と、…

【平家物語80 第4巻 還御〈かんぎょ〉】「九重の都を出でられ、八重の潮路をかきわけて、ここまでお出でになられた陛下の御心は かたじけない極みである」 この神前に捧げられた言葉には、上皇を始め諸臣みな感激した。

高倉上皇が厳島にお着きになったのは、 三月二十六日、 清盛入道相国が最も寵愛した内侍の家が仮御所となり、 なか二日の滞在中には、 読経の会と舞楽がにぎやかに行なわれた。 満願の日、 導師三井寺の公顕《こうげん》僧正は高座にのぼり、 鐘を鳴らして表…

平家物語79 第4巻 厳島御幸③〜The Tale of the Heike 🌊

翌十九日、 大宮大納言 隆季《たかすえ》の徹宵の準備で 御幸はつつがなく行なわれた。 三月も半ばを過ぎている。 霞に曇る有明の月おぼろな空の下、御幸の一行は、 地に淡い影を落しながら鳥羽殿へ向った。 鳥の声、空を渡るのを見上げれば、 遥か北陸を目…

【源氏物語680 第21帖 乙女35】霜の白いころに若君は急いで出かけた。泣きはらした目を人に見られることが恥ずかしいのに、大宮にそばに呼ばれるだろう。気楽な場所へ行ってしまいたくなった。

「そらあんなことを言っている。 くれなゐの 涙に深き 袖の色を 浅緑とや いひしをるべき 恥ずかしくてならない」 と言うと、 いろいろに 身のうきほどの 知らるるは いかに染めける 中の衣ぞ と雲井の雁が言ったか言わぬに、 もう大臣が家の中にはいって来…

平家物語78 第4巻 厳島御幸②〜The Tale of the Heike 🌊

新帝の即位は、 皇室との親族関係樹立という清盛永年の悲願をかなえさせた。 入道相国夫婦は天皇の外祖父、外祖母である。 ともに准三后《じゅんさんごう》の宣旨をうけ、 年官年爵を頂戴した。 絵や花で飾られた衣をまとった公卿たちで ごった返す入道邸は…

平家物語77 第4巻 厳島御幸①〜The Tale of the Heike🪷

治承四年正月一日、法皇の鳥羽殿《とばどの》には、 人の訪れる気配もなかった。 入道相国の怒り未だとけず、 公卿たちの近づくのを許さなかったし、 法皇も清盛をはばかっておられたからである。 正月の三日間というもの、 朝賀に参上するものもいなかった…

【源氏物語679 第21帖 乙女34】夕霧の若君には、「‥貴公子でおありになっても、最初の殿様が 浅葱《あさぎ》の袍《ほう》の六位の方とは」と姫君の乳母の言う声も聞こえるのであった。

「伯父《おじ》様の態度が恨めしいから、 恋しくても 私はあなたを忘れてしまおうと思うけれど、 逢わないでいてはどんなに苦しいだろうと 今から心配でならない。 なぜ逢えば逢うことのできたころに 私はたびたび来なかったろう」 と言う男の様子には、 若…

平家物語76 第3巻 完 城南離宮〈せいなんのりきゅう〉〜The Tale of the Heike❄️

その頃 内裏《だいり》の主上から、 鳥羽殿にある法皇の許に、 ひそかにお便りがあった。 「かような世になりましては、 天皇の位にあっても何の意味がありましょうか? むしろ宇多法皇、花山法皇の例にもならい、 出家して山林流浪の行者にでもなろうかと思…

平家物語75 第3巻 法皇被流〈ほうおうのながされ〉〜The Tale of the Heike🪷

治承三年十一月二十日、 清盛の軍勢は法皇の御所を取り囲んだ。 「平治の乱の時と同じように、御所を焼打ちするそうだ」 という流言が広がって、 御所の中は、上を下への大騒ぎとなった。 その混乱のさなかに、 平宗盛が車をかって御所へやってきた。 「急い…

【源氏物語678 第21帖 乙女33】若君の乳母が、「若様とご一緒の御主人様だと思っておりましたのに‥。殿様が他の方と御結婚をおさせになろうとされても、お従いにならぬようにあそばせ」などと小声で言う

若君の乳母の宰相の君が出て来て、 「若様とごいっしょの御主人様だと ただ今まで思っておりましたのに行っておしまいになるなどとは 残念なことでございます。 殿様がほかの方と御結婚をおさせになろうとあそばしましても、 お従いにならぬようにあそばせ」…

平家物語74 第3巻 行隆の沙汰〈ゆきたかのさた〉〜The Tale of the Heike🪷

関白基房の家来、江大夫判官遠成 《ごうたいふはんがんとおなり》という者がいた。 日頃から平家には反感を抱いていたが、 六波羅からの追手が迫ると聞き、 息子 江左衛門尉家成《ごうさえもんのじょういえなり》 といっしょに揃って家を出た。 家を出てみた…

平家物語73 第3巻 大臣流罪〜The Tale of the Heike🪷

法印からの話を聞かれた法皇は、 もうそれ以上は何事も仰有《おっしゃ》らなかった。 清盛の話を、もっともと思われたのではなく、 いっても無駄と諦めてしまわれたものらしい。 十六日になって、 突然関白基房始め四十三人の公卿殿上人に、 追放の命令が下…

【源氏物語677 第21帖 乙女32】雲井の雁は祖母の宮のお嘆きの原因に自分の恋愛問題がなっているのであると思うと、羞恥の感に堪えられなくて、顔も上げることができずに泣いてばかりいた。

大臣は、 「ちょっと御所へ参りまして、 夕方に迎えに来ようと思います」 と言って出て行った。 事実に潤色を加えて結婚をさせてもよいとは 大臣の心にも思われたのであるが、 やはり残念な気持ちが勝って、 ともかくも相当な官歴ができたころ、 娘への愛の…