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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

第九帖 葵(あおい)源氏物語

源氏は宮に手紙を送る。宮は悲しみが募る【源氏物語 171 第九帖 葵44】左大臣は女房達に故人の愛した手まわりの品、衣類などを分ける

大臣は女房たちに、身分や年功で差をつけて、 故人の愛した手まわりの品、 それから衣類などを、目に立つほどにはしないで上品に分けてやった。 源氏はこうした籠居《こもりい》を続けていられないことを思って、 院の御所へ今日は伺うことにした。 車の用意…

【第9帖 葵 あおい】藤壺の宮との若宮が東宮になる。車争い 葵の上の出産‥ 源氏の二十二歳春から二十三歳正月まで

桐壺帝が譲位し、源氏の兄の朱雀帝が即位する。 藤壺中宮の若宮が東宮【実は源氏と藤壺の子】となり、 源氏は東宮の後見人となる。 また、六条御息所と前東宮の娘(後の秋好中宮)が斎宮となった。 賀茂祭(葵祭、4月 (旧暦)の中の酉の日)の御禊(賀茂斎院…

【源氏物語188 第九帖 葵61完】左大臣の北の方の宮様が源氏に、素晴らしい衣装を贈る。源氏は下襲をすぐにそれに替える。

宮様の挨拶を女房が取り次いで来た。 「今日だけはどうしても昔を忘れていなければならないと 辛抱しているのですが、 御訪問くださいましたことでかえって その努力がむだになってしまいました」 それから、また、 「昔からこちらで作らせますお召し物も、 …

【源氏物語187 第九帖 葵60】源氏は御所に参賀に周り、左大臣家にも行った。若君は、目付き口元が東宮にそっくりである。よく笑うのも哀れである。

こうして今年が暮れ、新しい春になった。 元日には院の御所へ先に伺候してから参内をして、 東宮の御殿へも参賀にまわった。 そして御所からすぐに左大臣家へ源氏は行った。 大臣は元日も家にこもっていて、 家族と故人の話をし出しては寂しがるばかりであっ…

【源氏物語186 第九帖 葵59】源氏は紫の君の裳着の準備をする。しかし姫君はつれない。源氏は姫君に恨み言を言う。

二条の院の姫君が何人《なにびと》であるかを 世間がまだ知らないことは、 実質を疑わせることであるから、 父宮への発表を急がなければならないと源氏は思って、 裳着《もぎ》の式の用意を 自身の従属関係になっている役人たちにも命じてさせていた。 こう…

【源氏物語185 第九帖 葵58】右大臣の六の君や 六条御息所に心は残しつつも、紫の君の他にほかに分ける心が見出せない源氏。

「宮仕えだって、だんだん地位が上がっていけば 悪いことは少しもないのです」 こう言って宮廷入りをしきりに促しておいでになった。 その噂の耳にはいる源氏は、 並み並みの恋愛以上のものをその人に持っていたのであるから、 残念な気もしたが、現在では紫…

【源氏物語184 第九帖 葵57】源氏は若紫に夢中である。右大臣は、源氏を六の君の婿にと思うが 皇太后はそれに対し憤慨する。

若紫と新婚後は宮中へ出たり、 院へ伺候していたりする間も 絶えず源氏は可憐な妻の面影を心に浮かべていた。 恋しくてならないのである。 不思議な変化が自分の心に現われてきたと思っていた。 恋人たちの所からは 長い途絶えを恨めしがった手紙も来るので…

【源氏物語183 第九帖 葵56】惟光は結婚のための餅を 少納言の娘の弁に御寝室の枕元に差し上げるよう頼んだ。少納言は源氏の好意に涙した。

源氏物語183です(間違っててすみません) 人間はあさましいものである、 もう自分は一夜だって この人と別れていられようとも思えないと 源氏は思うのであった。 命ぜられた餠を惟光は わざわざ夜ふけになるのを待って持って来た。 少納言のような年配な人…

【源氏物語182 第九帖 葵55】亥の子餅を持ってきた惟光に 結婚のための餅を命ずる。惟光は全てを察し 手ずから餅を調製する

その晩は亥《い》の子の餠《もち》を食べる日であった。 不幸のあったあとの源氏に遠慮をして、たいそうにはせず、 西の対へだけ美しい檜破子詰《ひわりごづ》めの物を いろいろに作って持って来てあった。 それらを見た源氏が、南側の座敷へ来て、 そこへ惟…

【源氏物語181 第九帖 葵 54】源氏は、女王の機嫌を取るものの 恨めしく思っているようで一言も口を聞かない。

源氏にそんな心のあることを 紫の君は想像もして見なかったのである。 なぜ自分はあの無法な人を信頼してきたのであろうと思うと 情けなくてならなかった。 昼ごろに源氏が来て、 「気分がお悪いって、どんなふうなのですか。 今日は碁もいっしょに打たない…

【源氏物語180 第九帖 葵53】愛すれば愛するほど加わってくる悩ましさは堪えられないものになって、心苦しい処置を源氏は取った。

つれづれな源氏は西の対にばかりいて、 姫君と扁隠《へんかく》しの遊びなどをして日を暮らした。 相手の姫君のすぐれた芸術的な素質と、 頭のよさは源氏を多く喜ばせた。 ただ肉親のように愛撫《あいぶ》して 満足ができた過去とは違って、 愛すれば愛する…

【源氏物語179 第九帖 葵52】美しく成長した紫の上を見て、実質的に結婚してもいい時期ではないかと思う源氏

そばへ寄って逢えなかった間の話など少ししてから、 「たくさん話はたまっていますから、 ゆっくりと聞かせてあげたいのだけれど、 私は今日まで忌《いみ》にこもっていた人なのだから、 気味が悪いでしょう。 あちらで休息することにしてまた来ましょう。 …

二条の院に戻った源氏【源氏物語178 第九帖 葵51】大人びた紫の上に、初恋の藤壺の宮の面影を重ねる。

二条の院はどの御殿もきれいに掃除ができていて、 男女が主人の帰りを待ちうけていた。 身分のある女房も今日は皆そろって出ていた。 華やかな服装をして きれいに装っているこの女房たちを見た瞬間に 源氏は、 気をめいらせはてた女房が肩を連ねていた、 左…

【源氏物語177 第九帖 葵50】源氏に中宮から 優しいお言葉を賜る。喪中の姿ですら源氏は美しい。

中宮も命婦《みょうぶ》を取り次ぎにしてお言葉があった。 「大きな打撃をお受けになったあなたですから、 時がたちましても なかなかお悲しみはゆるくなるようなこともないでしょう」 「人生の無常はもうこれまでに いろいろなことで教訓されて参った私でご…

【源氏物語176 第九帖 葵49】やつれた源氏を心配して、院はお居間でお食事をおさせになった。源氏は、院の御親心をもったいなく思った。

この夕方の家の中の光景は寒気がするほど悲しいものであった。 若い女房たちはあちらこちらにかたまって、 それはまた自身たちの悲しみを語り合っていた。 「殿様がおっしゃいますようにして、 若君にお仕えして、 私はそれを悲しい慰めにしようと思っていま…

【源氏物語175 第九帖 葵48】左大臣は、漢詩(長恨歌)鴛鴦瓦冷霜花重と書いたところの歌をみる。左大臣は声を惜しまず泣く。

亡き魂《たま》ぞ いとど悲しき 寝し床《とこ》の あくがれがたき 心ならひに と書いてある。 「鴛鴦瓦冷霜花重《ゑんあうかはらにひえてさうくわおもし》」 白居易 長恨歌より と書いた所にはこう書かれてある。 君なくて 塵《ちり》積もりぬる 床なつの 露…

【源氏物語174 第九帖 葵47】左大臣は亡き娘の部屋に入る。何ひとつ変わってはいないのにと 空虚なものに思われた。

「つまらない忖度《そんたく》をして 悲しがる女房たちですね。 ただ今のお言葉のように、 私はどんなことも 自分の信頼する妻は許してくれるものと 暢気《のんき》に思っておりまして、 わがままに外を遊びまわりまして 御無沙汰をするようなこともありまし…

【源氏物語173 第九帖 葵 46】若君がおられることもあり 源氏との縁は続くものの 左大臣は哀しく淋しく思って泣く。

「それではもうお出かけなさいませ。 時雨《しぐれ》があとからあとから 追っかけて来るようですから、 せめて暮れないうちにおいでになるがよい」 と大臣は勧めた。 源氏が座敷の中を見まわすと 几帳《きちょう》の後ろとか、 襖子《からかみ》の向こうとか…

【源氏物語172 第九帖 葵45】涙を流し悲しむ左大臣を力づける源氏

しばらくして源氏の居間へ大臣が出て来た。 非常に悲しんで、 袖を涙の流れる顔に当てたままである。 それを見る女房たちも悲しかった。 人生の悲哀の中に包まれて泣く源氏の姿は、 そんな時も艶《えん》であった。 大臣はやっとものを言い出した。 「年を取…

【源氏物語170 第九帖 葵43】源氏は命の儚さと涙する。葵上が可愛がっていた童女も泣く。黒い子供用の衣装に樺色の袴も可憐であった。

源氏はだれにも同情の目を向けながら、 「すっかりよその人になるようなことがどうしてあるものか。 私をそんな軽薄なものと見ているのだね。 気長に見ていてくれる人があればわかるだろうがね。 しかしまた私の命がどうなるだろう、その自信はない」 と言っ…

【源氏物語169 第九帖 葵42】左大臣家での語らい。気のおけぬ女房達と妻の思い出を共有する。紫の姫君には父親のような感情を持つ源氏

あまりに非凡な女は自身の持つ才識が かえって禍《わざわ》いにもなるものであるから、 西の対の姫君をそうは教育したくないとも思っていた。 自分が帰らないことで どんなに寂しがっていることであろうと、 紫の女王のあたりが恋しかったが、 それはちょう…

朝顔の女王に手紙を送る【源氏物語168 第九帖 葵41】冷静で情味がある女王との友愛は永久なものと思われる。

源氏はまだつれづれさを紛らすことができなくて、 朝顔の女王へ、情味のある性質の人は 今日の自分を 哀れに思ってくれるであろうという頼みがあって手紙を書いた。 もう暗かったが使いを出したのである。 親しい交際はないが、 こんなふうに時たま手紙の来…

【源氏物語167 第九帖 葵40】左大臣家は光を失ったようである。撫子に例えられた幼児は花のようである。

ただ一人の人がいなくなっただけであるが、 家の中の光明をことごとく失ったように だれもこのごろは思っているのである。 源氏は枯れた植え込みの草の中に 竜胆《りんどう》や撫子《なでしこ》の咲いているのを見て、 折らせたのを、中将が帰ったあとで、 …

【源氏物語166 第九帖 葵39】源氏の美しさに 先だって死んだ場合に女の魂は離れていくまいと中将は思った。

「相逢相失両如夢《あひあひあひうしなふふたつながらゆめのごとし》、 為雨為雲今不知《あめとやなるくもとやなるいまはしらず》」 と口ずさみながら頬杖《ほおづえ》をついた源氏を、 女であれば先だって死んだ場合に魂は必ず離れて行くまいと 好色な心に…

中将(三位中将)が訪ねてくれる【源氏物語165 第九帖 葵38】鈍色の装束から今までのよりは薄い色に着替えた。

日を取り越した法会《ほうえ》はもう済んだが、 正しく四十九日まではこの家で暮らそうと源氏はしていた。 過去に経験のない独り棲《ず》みをする源氏に同情して、 現在の三位《さんみ》中将は始終 訪ねて来て、 世間話も多くこの人から源氏に伝わった。 ま…

【源氏物語164 第九帖 葵37】御息所の悩みは深く健康もすぐれない。御息所のいる野宮には風流人が集まるようになった。

院はどう思召《おぼしめ》すだろう。 前皇太弟とは御同胞といっても取り分けお睦まじかった、 斎宮の将来のことも院へお頼みになって 東宮は御隠れになったので、 その時代には 第二の父になってやろうという仰せがたびたびあって、 そのまままた御所で 後宮…

六条御息所からの手紙に返事を書く【源氏物語163 第九帖 葵36】なぜ御息所の生霊を見てしまったのだろうと思う源氏

平生よりもいっそうみごとに書かれた字であると 源氏はさすがにすぐに下へも置かれずにながめながらも、 素知らぬふりの慰問状であると思うと恨めしかった。 たとえあのことがあったとしても絶交するのは残酷である、 そしてまた名誉を傷つけることになって…

【源氏物語162 第九帖 葵35】人の世を 哀れときくも 露けきに おくるる露を 思ひこそやれ‥六条御息所から手紙が来る

夜は帳台の中へ一人で寝た。 侍女たちが夜の宿直におおぜいでそれを巡ってすわっていても、 夫人のそばにいないことは限りもない寂しいことであった。 「時しもあれ 秋やは人の別るべき 有るを見るだに 恋しきものを」 こんな思いで源氏は寝ざめがちであった…

【源氏物語161 第九帖 葵34】源氏は悲嘆に暮れる。母の宮様は悲しみのために寝付いてしまう。

欠点の多い娘でも死んだあとでの親の悲しみは どれほど深いものかしれない、 まして母君のお失いになったのは、 貴女《きじょ》として 完全に近いほどの姫君なのであるから、 このお歎きは至極道理なことと申さねばならない。 ただ姫君が一人であるというこ…

【源氏物語160 第九帖 葵33】もし自分が先に死んでいたら妻はこれより濃い喪服を着てなげいるだろうと思っても、悲しみが湧き上がってくる。

淡鈍《うすにび》色の喪服を着るのも夢のような気がした。 もし自分が先に死んでいたら、 妻はこれよりも濃い色の喪服を着て 歎いているであろうと思っても また源氏の悲しみは湧き上がってくるのであった。 限りあれば うす墨衣浅けれど 涙ぞ袖を 淵《ふち…