何年かのうちに邸内《やしきうち》はいよいよ荒れて、
すごいような広い住居《すまい》であった。
姉の女御《にょご》の所で話をしてから、
夜がふけたあとで西の妻戸をたたいた。
朧《おぼ》ろな月のさし込む戸口から
艶《えん》な姿で源氏ははいって来た。
美しい源氏と月のさす所に出ていることは恥ずかしかったが、
初めから花散里はそこに出ていたのでそのままいた。
🌿涼風薫る宵(The Evening,wafting cool breeze) by 蒲鉾さちこ🌿
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