何のあやめも いかにわくらん
からだから魂が抜けてしまうほど恋しく思います。
私はこの苦しみに堪えられないと思う。
ぜひ京へ出て来ることにしてください。
こちらであなたに不愉快な思いをさせることは断じてない。
という手紙であった。
入道は例のように感激して泣いていた。
源氏の出立の日の泣き顔とは違った泣き顔である。
明石でも式の用意は派手にしてあった。
見て報告をする使いが来なかったなら、
それがどんなに晴れをしなかったことだろうと思われた。
乳母《めのと》も明石の君の優しい気質に馴染《なじ》んで、
よい友人を得た気になって、
京のことは思わずに暮らしていた。
💐🎼brightly written by のる 💐
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