google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

第十三帖 明石(あかし)源氏物語

【源氏物語387 第13帖 明石49】源氏は明石の君のもとを訪ねに行く。月夜の景色が美しい。紫の上が恋しい。この馬に乗って京まで行ってしまいたい源氏であった。

風流がりな男であると思いながら源氏は 直衣《のうし》をきれいに着かえて、 夜がふけてから出かけた。 よい車も用意されてあったが、 目だたせぬために馬で行くのである。 惟光などばかりの一人二人の供をつれただけである。 山手の家はやや遠く離れていた…

【源氏物語426 第13帖 明石88 完】大弐の娘、五節は二条の院に手紙をおかせた。好きな女であったので訪ねたいと思ったが、不謹慎なもとはできないと思われた。

大弐《だいに》の娘の五節《ごせち》は、 一人でしていた心の苦も解消したように喜んで、 どこからとも言わせない使いを出して、 二条の院へ歌を置かせた。 須磨の浦に 心を寄せし 船人の やがて朽《く》たせる 袖を見せばや 字は以前よりずっと上手になって…

【源氏物語425 第13帖 明石87】源氏は明石から送ってきた使いに手紙を持たせて帰した。紫の上にはばかりながら 細やかな情を書き送った。

源氏は明石から送って来た使いに手紙を持たせて帰した。 夫人にはばかりながらこまやかな情を女に書き送ったのである。 毎夜毎夜悲しく思っているのですか、 歎きつつ 明石の浦に 朝霧の 立つやと人を 思ひやるかな こんな内容であった。 Wind of Travelers …

【源氏物語424 第13帖 明石86】源氏は法華経の八講を行う準備をさせていた。東宮は聡明にお育ちになっておられる。入道の宮にはしばらくたって訪問した。

源氏は院の御為《おんため》に 法華経《ほけきょう》の八講を行なう準備をさせていた。 東宮にお目にかかると、 ずっとお身大きくなっておいでになって、 珍しい源氏の出仕をお喜びになるのを、 限りもなくおかわいそうに源氏は思った。 学問もよくおできに…

【源氏物語423 第13帖 明石85】十五夜の月の静かなもとで、帝と源氏はしめやかにお話あそばした。帝は君主としての過失を自らお認めになる情をお見せになった。

しめやかにお話をあそばすうちに夜になった。 十五夜の月の美しく静かなもとで 昔をお忍びになって帝はお心をしめらせておいでになった。 お心細い御様子である。 「音楽をやらせることも近ごろはない。 あなたの琴の音もずいぶん長く聞かなんだね」 と仰せ…

【源氏物語422 第13帖 明石84】源氏は権大納言となり、侍臣達の官位も戻された。帝のお召しがあり源氏は参内する。朱雀帝は源氏に会うのを晴れがましく思し召しになった。

間もなく源氏は本官に復した上、 権大納言《ごんだいなごん》も兼ねる辞令を得た。 侍臣たちの官位もそれぞれ元にかえされたのである。 枯れた木に春の芽が出たようなめでたいことである。 お召しがあって源氏は参内した。 お常御殿に上がると、 源氏のさら…

【源氏物語421 第13帖 明石83】源氏は紫の上に明石の君のことを話した。女王は「身をば思はず」などと儚そうに言っているのを美しく可憐に思った。

源氏は夫人に明石の君のことを話した。 女王はどう感じたか、 恨みを言うともなしに「身をば思はず」百人一首 38番 右近の和歌 (忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな) などとはかなそうに言っているのを、 美しいとも可憐《かれん》であ…

【源氏物語420 第13帖 明石82】源氏は、2年半の間にさらに美しくなった紫の上に会えた。しかし別離を悲しんだ明石の君を可哀想に思いやられた。

紫夫人も生きがいなく思っていた命が、 今日まであって、 源氏を迎ええたことに満足したことであろうと思われる。 美しかった人のさらに完成された姿を 二年半の時間ののちに源氏は見ることができたのである。 寂しく暮らした間に、あまりに多かった髪の量の…

【源氏物語419 第13帖 明石81】源氏は浪速に船をつけて祓いをした。住吉の神にも帰洛の日が来た報告をし京に戻った。

源氏は浪速《なにわ》に船を着けて、 そこで祓《はら》いをした。 住吉の神へも無事に帰洛《きらく》の日の来た報告をして、 幾つかの願《がん》を実行しようと思う意志のあることも 使いに言わせた。 自身は参詣《さんけい》しなかった。 途中の見物なども…

【源氏物語417 第13帖 明石79】悲しむ娘に、夫人は明石入道に不満をもらす。入道は、源氏にお考えがあるに違いないと言いつつも、苦しくなり部屋の片隅にいた。

「どうしてこんなに苦労の多い結婚をさせたろう。 固意地《かたいじ》な方の言いなりに 私までもがついて行ったのがまちがいだった」 と夫人は歎息《たんそく》していた。 「うるさい、 これきりにあそばされないことも残っているのだから、 お考えがあるに…

【源氏物語418 第13帖 明石80】夫人や乳母に恨み言を言われるし、入道の心は疲れ果てた。昼間は寝て夜は起き出す。池に落ちたり、岩角に腰を下ろし損ねて怪我もした。

妻と乳母《めのと》とが口々に入道を批難した。 「お嬢様を御幸福な方にしてお見上げしたいと、 どんなに長い間祈って来たことでしょう。 いよいよそれが実現されますことかと存じておりましたのに、 お気の毒な御経験をあそばすことになったのでございます…

【源氏物語416 第13帖 明石78】明石の君は悲しみに沈みきっている。捨てていく恨めしい源氏が、また恋しく泣き続けている。母の夫人もなだめかねていた。

それきり起居《たちい》もよろよろとするふうである。 明石の君の心は悲しみに満たされていた。 外へは現わすまいとするのであるが、 自身の薄倖《はっこう》であることが悲しみの根本になっていて、 捨てて行く恨めしい源氏が また恋しい面影になって見える…

【源氏物語415 第13帖 明石77】入道は国境まで送ると言う。源氏は名残惜しさに涙を拭う。美しい源氏に入道も気が遠くなったように萎れてしまった。

世をうみに ここらしほじむ 身となりて なほこの岸を えこそ離れね 子供への申しわけにせめて国境まではお供をさせていただきます」 と入道は言ってから、 「出すぎた申し分でございますが、 思い出しておやりくださいます時がございましたら 御音信をいただ…

【源氏物語414 第13帖 明石76】源氏は今まで着ていた衣を明石の上にあげた。自身のにおいの沁んだ着物がどれだけ有効な物であるかを源氏はよく知っていた。

「せっかくよこしたのだから」 と言いながらそれに着かえた。 今まで着ていた衣服は女の所へやった。 思い出させる恋の技巧というものである。 自身のにおいの沁《し》んだ着物が どれだけ有効な物であるかを源氏はよく知っていた。 「もう捨てました世の中…

【源氏物語412 第13帖 明石74】源氏の名残惜しい様子に皆 同情する。良清は 明石の上を よほどお気ににいっただろうと少し面白くない。

女の関係を知らない人々はこんな住居《すまい》も、 一年以上いられて別れて行く時は 名残があれほど惜しまれるものなのであろうと単純に同情していた。 良清などはよほどお気に入った女なのであろうと憎く思った。 侍臣たちは心中のうれしさをおさえて、 今…

【源氏物語411 第13帖 明石73】出立の朝、時間と人目を盗んで源氏は文を送る。明石の上からの返事が来た。手紙を眺めている源氏は ほろほろと涙をこぼしていた、

言うともなくこう言うのを、源氏は恨んで、 逢《あ》ふまでの かたみに契る 中の緒《を》の しらべはことに 変はらざらなん と言ったが、 なおこの琴の調子が狂わない間に必ず逢おうとも言いなだめていた。 信頼はしていても目の前の別れがただただ女には悲…

【源氏物語410 第13帖 明石72】明石の上の琴は素晴らしかった。なぜ今日までしいても弾かせなかったのか残念でならない。源氏は情熱を込めた言葉で将来を誓った。

源氏のような音楽の天才である人が、 はじめて味わう妙味であると思うような手もあった。 飽満するまでには聞かせずにやめてしまったのであるが、 源氏はなぜ今日までにしいても弾かせなかったかと残念でならない。 熱情をこめた言葉で源氏はいろいろに将来…

【源氏物語409 第13帖 明石71】源氏の琴の音に感動した明石入道は、娘に促すように几帳の中に琴を差し入れた。明石の上はとめどもなく流れる涙に誘われたように琴を弾いた。

深夜の澄んだ気の中であったから、非常に美しく聞こえた。 入道は感動して、 娘へも促すように自身で十三絃の琴を 几帳《きちょう》の中へ差し入れた。 女もとめどなく流れる涙に誘われたように、低い音で弾き出した。 きわめて上手である。 入道の宮の十三…

【源氏物語408 第13帖 明石70】明石の上は可憐なふうに泣く。源氏は今日から持ってきた琴をとりに行かせて優れた難しい曲を弾いた。

このたびは 立ち別るとも 藻塩《もしほ》焼く 煙は同じ 方《かた》になびかん と源氏が言うと、 かきつめて 海人《あま》の焼く藻《も》の 思ひにも 今はかひなき 恨みだにせじ とだけ言って、 可憐《かれん》なふうに泣いていて 多くは言わないのであるが、…

【源氏物語407 第13帖 明石69】美しい源氏に明石の上は自身の価値の低さが思われて悲しい。塩を焼く煙、秋風の中できく淋しい波の音‥秋の風景は物悲しい。

あふれるような愛を持って、 涙ぐみながら将来の約束を女にする源氏を見ては、 これだけの幸福をうければもうこの上を願わないで あきらめることもできるはずであると思われるのであるが、 女は源氏が美しければ美しいだけ 自身の価値の低さが思われて悲しい…

【源氏物語406 第13帖 明石68】源氏は初めて明石の上をはっきり見た。貴女らしく気高く端麗さが備わっていた。源氏は今日に迎えようと思う。

出発が明後日に近づいた夜、 いつもよりは早く山手の家へ源氏は出かけた。 まだはっきりとは今日までよく見なかった女は、 貴女《きじょ》らしい気高《けだか》い様子が見えて、 この身分にふさわしくない端麗さが備わっていた。 捨てて行きがたい気がして、…

【源氏物語405 第13帖 明石67】明石の上との関係を秘密にしていたが、人々が分かった。以前 結婚を申し込んでいた良清は少し悔しかった。

女との関係を知っている者は、 「反感が起こるよ。例のお癖だね」 と言って、困ったことだと思っていた。 源氏が長い間この関係を秘密にしていて、 人目を紛らして通っていたことが 近ごろになって人々にわかったのであったから、 「女からいえば一生の物思…

【源氏物語404 第13帖 明石66】明石の上は思い乱れていた。京から迎えにきたものも多く 侍臣も喜んでいた。明石入道だけは泣いてばかりいた。

女はもとより思い乱れていた。 もっともなことである。 思いがけぬ旅に 京は捨てても また帰る日のないことなどは 源氏の思わなかったことであった。 慰める所がそれにはあった。 今度は幸福な都へ帰るのであって、 この土地との縁はこれで終わると見ねばな…

【源氏物語403 第13帖 明石65】京に戻る源氏。明石の入道は悲しむが 源氏が栄えねば自分の夢は叶わないと思い直した。明石の君は懐妊。別離が近づくが、源氏は女君を深く好きになっていた。

入道も当然であると思いながらも、 胸に蓋《ふた》がされたほど悲しい気持ちもするのであったが、 源氏が都合よく栄えねば 自分のかねての理想は実現されないのであるからと思い直した。 その時分は毎夜 山手の家へ通う源氏であった。 今年の六月ごろから女…

【源氏物語402 第13帖 明石64】朱雀帝は、いろいろなことが起こり心細く思し召して、再度 帰京の御沙汰があった。源氏は明石の浦を捨てて出ねばならぬ事は相当に源氏を苦しませた。

去年から太后も物怪《もののけ》のために病んでおいでになり、 そのほか天の諭《さと》しめいたことが しきりに起こることでもあったし、 祈祷と御 精進で一時およろしかった御眼疾も またこのごろお悪くばかりなっていくことに心細く思召して、 七月二十幾…

【源氏物語401 第13帖 明石63】朱雀帝は朝廷の政務を総括的に見る人物に源氏を起用しないことは国家の損失と思し召し、皇太后の反対を押し切り赦免した。

春になったが帝《みかど》に御悩《ごのう》があって 世間も静かでない。 当帝の御子は右大臣の女《むすめ》の 承香殿《じょうきょうでん》の女御《にょご》の腹に皇子があった。 それはやっとお二つの方であったから 当然東宮へ御位《みくらい》はお譲りにな…

【源氏物語413 第13帖 明石75】明石入道は出立の日の饗応を設け、皆に立派な旅装一揃いづつ、源氏の衣服は精選して調整した。狩衣のところに明石の上の歌があった。

出立の日の饗応《きょうおう》を入道は派手に設けた。 全体の人へ餞別《せんべつ》に りっぱな旅装一揃《そろ》いずつを出すこともした。 いつの間にこの用意がされたのであるかと驚くばかりであった。 源氏の衣服はもとより質を精選して調製してあった。 幾…

【源氏物語400 第13帖 明石62】源氏は いろいろに絵を描き、その時々の心を文章にしてつけていった。心が通じたのか、紫の上も絵を描き自身の日々を日記のように書いた。

源氏はいろいろに絵を描《か》いて、 その時々の心を文章にしてつけていった。 京の人に訴える気持ちで描いているのである。 女王の返辞が この絵巻から得られる期待で作られているのであった。 感傷的な文学および絵画としてすぐれた作品である。 どうして…

【源氏物語399 第13帖 明石61】明石の上への愛は深くなっていくが、紫の上の気持ちを思い、浜の館で独り寝をすることの多い源氏。

源氏の愛は月日とともに深くなっていくのであるが、 最愛の夫人が一人京に残っていて、 今の女の関係をいろいろに想像すれば 恨めしい心が動くことであろうと思われる苦しさから、 浜の館《やかた》のほうで一人寝をする夜のほうが多かった。 悲哀 written b…

【源氏物語410 第13帖 明石72】明石の上の琴は素晴らしかった。なぜ今日までしいても弾かせなかったのか残念でならない。源氏は情熱を込めた言葉で将来を誓った。

源氏のような音楽の天才である人が、 はじめて味わう妙味であると思うような手もあった。 飽満するまでには聞かせずにやめてしまったのであるが、 源氏はなぜ今日までにしいても弾かせなかったかと残念でならない。 熱情をこめた言葉で源氏はいろいろに将来…