源氏は懐紙に書くのであった。
みをつくし 恋ふるしるしに ここまでも
めぐり逢ひける 縁《えに》は深しな
惟光に渡すと、
明石へついて行っていた男で、
入道家の者と心安くなっていた者を使いにして
明石の君の船へやった。
派手な一行が浪速を通って行くのを見ても、
女は自身の薄倖《はっこう》さばかりが思われて
悲しんでいた所へ、
ただ少しの消息ではあるが
送られて来たことで感激して泣いた。
🪻🎼花影 written by Fukagawa🪻
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