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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

第十四帖 澪標(みおつくし)源氏物語

【源氏物語434 第14帖 澪標8】致仕の左大臣も源氏の説得に断りきれず太政大臣となった。この人に栄えの春がやってきたのである。

「私は病気によっていったん職をお返しした人間なのですから、 今日はまして年も老いてしまったし、 そうした重任に当たることなどはだめです」 と大臣は言って引き受けない。 「支那《しな》でも政界の混沌《こんとん》としている時代は 退いて隠者になって…

【源氏物語500 第14帖 澪標74 完】中納言の姫君は弘徽殿の女御として入内。入道の宮は、前斎宮の入内の件を御自身の意志として宮家へお申し入れになった。

中納言(源氏の親友、葵上の兄)の姫君は、 弘徽殿《こきでん》の女御《にょご》と呼ばれていた。 太政大臣の猶子《ゆうし》になっていて、 その一族がすばらしい背景を作っているはなやかな後宮人であった。 陛下もよいお遊び相手のように思召された。 「兵…

【源氏物語499 第14帖 澪標73 】斎宮の宮をしれっと二条院にお迎えし、自邸から入内を考える源氏。紫の上は、喜んで準備をしていた。

のちにはまた何事も素知らぬ顔で二条の院へ斎宮を迎えて、 入内は自邸からおさせしようという気にも源氏はなった。 夫人にその考えを言って、 「あなたのいい友だちになると思う。 仲よくして暮らすのに似合わしい二人だと思う」 と語ったので、 女王《にょ…

【源氏物語498 第14帖 澪標72】斎宮を冷泉帝の後宮にあげることを入道の宮(藤壺)は賛成し、宮の仰せが下ったことにし 源氏が賛意を表したということにした。

「非常によいことを考えてくださいました。 院もそんなに御熱心でいらっしゃることは、 お気の毒なようで、 済まないことかもしれませんが、 お母様の御遺言であったからということにして、 何もお知りにならない顔で御所へお上げになればよろしいでしょう。…

【源氏物語497 第14帖 澪標 71】源氏は、斎宮の宮を冷泉帝の女御にと考える。それについて藤壺の入道の宮に口添えをお願いする。

「お母様の御息所はきわめて聡明な人だったのですが、 私の若気のあやまちから浮き名を流させることになりました上、 私は一生恨めしい者と思われることになったのですが、 私は心苦しく思っているのでございます。 私は許されることなしにその人を死なせて…

【源氏物語496 第14帖 澪標70】源氏は、朱雀院に申し訳ないと思いつつも、宮中にお入れする事を入道の宮(藤壺)に申しあげた。

源氏はこの話を聞いて、 院が望んでおいでになる方を横取りのようにして 宮中へお入れすることは済まないと思ったが、 宮の御様子がいかにも美しく可憐《かれん》で、 これを全然ほかの所へ渡してしまうことが残念な気になって、 入道の宮へ申し上げた。 こ…

【源氏物語495 第14帖 澪標69】朱雀院は、斎宮としてお下りになる日の大極殿の儀式以来、恋しく思われて 院の後宮へお入りなること望まれた。

院は宮が斎宮としてお下りになる日の 荘厳だった大極殿《だいごくでん》の儀式に、 この世の人とも思われぬ美貌を御覧になった時から、 恋しく思召されたのであって、 帰京後に、 「院の御所へ来て、私の妹の宮などと同じようにして暮らしては」 と宮のこと…

【源氏物語494 第14帖 澪標68】斎宮に求婚する男は多かったが、源氏が乳母達に親らしい注意をあたえていた。

女房たちを仲介にして求婚をする男は各階級に多かったが、 源氏は乳母《めのと》たちに、 「自分勝手なことをして問題を起こすようなことを宮様にしてはならない」 と親らしい注意を与えていたので、 源氏を不快がらせるようなことは慎まねばならぬと おのお…

【源氏物語493 第14帖 澪標67】片時離れることもない十幾年の御生活であった母君が、死の道だけはただ一人でおいでになったとお思いになることが、斎宮の尽きぬお悲しみであった。

同じく母といっても、宮と御息所は親一人子一人で、 片時離れることもない十幾年の御生活であった。 斎宮が母君とごいっしょに行かれることは あまり例のないことであったが、 しいてごいっしょにお誘いになったほどの母君が、 死の道だけはただ一人でおいで…

【源氏物語 492 第14帖 澪標66】六条邸は日がたつにしたがって寂しくなり、心細さがふえてくる上に、御息所の女房なども次第に下がって行く者が多くなった。

六条邸は日がたつにしたがって寂しくなり、 心細さがふえてくる上に、 御息所《みやすどころ》の女房なども 次第に下がって行く者が多くなって、 京もずっと下《しも》の六条で、 東に寄った京極通りに近いのであるから、 郊外ほどの寂しさがあって、 山寺の…

【源氏物語491 第14帖 澪標65】他の恋人たちの中に混じって劣る方でもないらしい宮のお顔を見たいと思う源氏。前斎宮の入内の希望は人には言わないほうがいいと思った。

自分の心に潜在している望みが実現されることがあっても、 他の恋人たちの中に 混じって劣る人ではないらしいこの人の顔を見たいものであると、 こんなことも思っている源氏であったから、 養父として打ちとけない人が聡明《そうめい》であったのであろう。 …

【源氏物語490 第14帖 澪標64】宮は非常に内気で 羞恥心がお強くて 異性に声を聞かせることは 思いもよらぬようにお考えであった。

「失礼ですが、お母様の代わりと思ってくだすって、 御遠慮のないおつきあいをくだすったら、 私の真心がわかっていただけたという気がするでしょう」 などと言うのであるが、 宮は非常に内気で羞恥《しゅうち》心がお強くて、 異性にほのかな声でも聞かせる…

【源氏物語489 第14帖 澪標63 】恋をささやくのではなく、前斎宮を自分の養女としてかしづくことにしよう。そして後宮にあげようと源氏は思った。

もう今は忌垣《いがき》の中の人でもなく、 保護者からも解放された一人の女性と見てよいのであるから、 恋人として思う心をささやいてよい時になったのであると、 こんなふうに思われるのと同時に、それはすべきでない、 おかわいそうであると思った。 御息…

【源氏物語488 第14帖 澪標62】斎宮の宮は、源氏に返事を書いた。おとなしい書風で応用で品のあるものであった。源氏は伊勢へお行きになった頃から、この方に興味を持っていたのである。

宮は返事を書きにくく思召したのであるが、 「われわれから御挨拶をいたしますのは失礼でございますから」 と女房たちがお責めするので、 灰色の紙の薫香《くんこう》のにおいを染ませた艶《えん》なのへ、 目だたぬような書き方にして、 消えがてに ふるぞ…

【源氏物語487 第14帖 澪標61】源氏は、斎宮の宮に 「降り乱れ ひまなき空に 亡き人の 天《あま》がけるらん 宿ぞ悲しき」 という手紙を送った。

雪が霙《みぞれ》となり、 また白く雪になるような荒日和《あれびより》に、 宮がどんなに寂しく思っておいでになるであろうと 想像をしながら源氏は使いを出した。 こういう天気の日にどういうお気持ちでいられますか。 降り乱れ ひまなき空に 亡き人の 天…

【源氏物語486 第14帖 澪標60】源氏は、昔を思いながら居間の御簾を下《お》ろしこめて精進の日を送り仏勤めをしていた。前斎宮へは始終見舞いの手紙を送っていた。

源氏は寂しい心を抱いて、 昔を思いながら居間の御簾《みす》を下《お》ろしこめて 精進の日を送り仏勤めをしていた。 前斎宮へは始終見舞いの手紙を送っていた。 宮のお悲しみが少し静まってきたころからは 御自身で返事もお書きになるようになった。 それ…

【源氏物語485 第14帖 澪標59】源氏は、六条御息所の葬儀を取り仕切った。非常に頼もしく 恨めしがっていた一家の方々の感情も解消されていった。

前の斎宮司の役人などで 親しく出入りしていた者などがわずかに来て 葬式の用意に奔走するにすぎない六条邸であった。 侍臣を送ったあとで源氏自身も葬家へ来た。 斎宮に弔詞を取り次がせると、 「ただ今は何事も悲しみのためにわかりませんので」 と女別当…

源氏物語484 第14帖 澪標58】娘の斎宮のことを頼むと言い残し、六条御息所は亡くなった。源氏は無常の人生が悲しまれて参内もせず引きこもっていて、御息所の葬儀の指図などをしていた。

「大事な御遺言を私にしてくださいましたことをうれしく存じます。 院の皇女がたはたくさんいらっしゃるのですが、 私と親しくしてくださいます方はあまりないのですから、 斎宮を 院が御自身の皇女の列に思召されましたとおりに私も思いまして、 兄弟として…

【源氏物語483 第14帖 澪標57】言葉をかけながら源氏が床を覗こうとするので、御息所は女房に別れの言葉を伝えさせた。

「私が伺ったので 少しでも御気分がよくなればよかったのですが、 お気の毒ですね。どんなふうに苦しいのですか」 と言いながら、 源氏が牀《とこ》をのぞこうとするので、 御息所は女房に別れの言葉を伝えさせた。 「長くおいでくださいましては 物怪《もの…

【源氏物語 482 第14帖 澪標56】源氏は几帳の間から 六条御息所の娘 前斎宮を見た。気高い美と愛嬌が備わる美しい姫であった。御息所は具合が悪くなり 源氏に帰るよう行って 横になった。

帳台の東寄りの所で身を横たえている人は 前斎宮でおありになるらしい。 几帳の垂《た》れ絹が乱れた間からじっと目を向けていると、 宮は頬杖《ほおづえ》をついて悲しそうにしておいでになる。 少ししか見えないのであるが美人らしく見えた。 髪のかかりよ…

【源氏物語481 第14帖 澪標55】ほのかな灯影から見る六条御息所の姿は絵のように美しい。源氏は哀れでたまらない気がした。

ほのかな灯影《ほかげ》が 病牀《びょうしょう》の几帳をとおしてさしていたから、 あるいは見えることがあろうかと静かに寄って 几帳の綻《ほころ》びからのぞくと、 明るくはない光の中に昔の恋人の姿があった。 美しくはなやかに思われるほどに切り残した…

【源氏物語480 第14帖 澪標54】意外な忖度《そんたく》までもするものであると思ったが、近年の自分は真面目であることは、自然お分かりになるだろうと伝えた。

意外な忖度《そんたく》までもするものであると思ったが 源氏はまた、 「近年の私がどんなにまじめな人間になっているかをご存じでしょう。 昔の放縦な生活の名残をとどめているようにおっしゃるのが残念です。 自然おわかりになってくることでしょうが」 と…

【源氏物語479 第14帖 澪標53】源氏は斎宮を責任持って後見すると伝える。六条御息所は源氏、恋人の列に加えないでほしいと頼む。

「あなたのお言葉がなくてもむろん私は父と変わらない心で 斎宮を思っているのですから、 ましてあなたが御病中にもこんなに御心配になって 私へお話しになることは、 どこまでも責任を持ってお受け合いします。 気がかりになどは少しもお思いになることはあ…

【源氏物語478 第14帖 澪標52】誠意の認められる昔の恋人に御息所は斎宮のことを頼んだ。こう言ったあとで、そのまま気を失うのではないかと思われるほど御息所は泣き続けた。

この源氏の心が御息所に通じたらしくて、 誠意の認められる昔の恋人に御息所は斎宮のことを頼んだ。 「孤児になるのでございますから、 何かの場合に子の一人と思ってお世話をしてくださいませ。 ほかに頼んで行く人はだれもない心細い身の上なのです。 私の…

【源氏物語477 第14帖 澪標51】非常に衰弱の見える昔の恋人のために源氏は泣いた。どれほど愛していたかをこの人に実証して見せることができないままで死別をせねばならぬかと残念でならないのである。

源氏は聞いて、恋人として考えるよりも、 首肯される意見を持つよき相談相手と信じていた その人の生命《いのち》が惜しまれて、 驚きながら六条邸を見舞った。 源氏は真心から御息所をいたわり、 御息所を慰める言葉を続けた。 病床の近くに源氏の座があっ…

【源氏物語476 第14帖 澪標50】にわかに重い病気になって心細くなった御息所は、伊勢という神の境にあって仏教に遠ざかっていた幾年かのことが恐ろしく思われて尼になった。

斎宮がどんなにりっぱな貴女になっておいでになるであろうと、 それを目に見たく思っていた。 御息所は六条の旧邸をよく修繕して あくまでも高雅なふうに暮らしていた。 洗練された趣味は今も豊かで、 よい女房の多い所として風流男の訪問が絶えない。 寂し…

【源氏物語475 第14帖澪標49】斎宮もお変わりになって六条御息所は伊勢から帰ってきた。もう二人に友人以上の交渉があってはならないと御息所は決めていたから、源氏も訪ねて行こうとはしなかった。

この御代《みよ》になった初めに斎宮もお変わりになって、 六条の御息所《みやすどころ》は伊勢《いせ》から帰って来た。 それ以来源氏はいろいろと昔以上の好意を表しているのであるが、 なお若かった日すらも恨めしい所のあった源氏の心の いわば余炎ほど…

【源氏物語474 第14帖 澪標48】京に迎えたいという手紙が来た。今日に行ったのちにも源氏の愛が続くのか、また明石入道も悩む。明石の君は京に出ていく自信がないと返事をした。

近いうちに京へ迎えたいという手紙を持って来たのである。 頼もしいふうに恋人の一人として認められている自分であるが、 故郷を立って京へ出たのちにまで 源氏の愛は変わらずに続くものであろうかと考えられることによって 女は苦しんでいた。 入道も手もと…

【源氏物語473 第14帖 澪標47】明石の君は住吉へ行って御幣を賜った。人数でない身の上を嘆いていたが、源氏の使いが明石にやってきた。

明石の君は源氏の一行が浪速《なにわ》を立った翌日は 吉日でもあったから住吉へ行って御幣《みてぐら》を奉った。 その人だけの願も果たしたのである。 郷里へ帰ってからは以前にも増した物思いをする人になって、 人数《ひとかず》でない身の上を歎《なげ…

【源氏物語472 第14帖 澪標46】小舟を漕がせて集まる遊女に興味を持つ人達を苦々しく思う。恋の相手には尊敬するべき価値が備わってないと興味が持てぬと思う源氏。

遊覧の旅をおもしろがっている人たちの中で 源氏一人は時々暗い心になった。 高官であっても若い好奇心に富んだ人は、 小船を漕がせて集まって来る遊女たちに 興味を持つふうを見せる。 源氏はそれを見てにがにがしい気になっていた。 恋のおもしろさも対象…