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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

平家物語 第1巻2 〈殿上の闇討ち (やみうち)①〉〜The Tale of the Heike🪷

昔の権力者は、地位が安定してくるとやたらに、

お寺とか、お墓とかを建てる習慣があったらしい。

人力では及びのつかない、神仏の加護を借りて、

権力の座にいつまでも とどまることを願うという心理にもとづくものである。

鳥羽院もかねがね三十三間の御堂《みどう》を建てたがっていた。

これが忠盛の尽力で完成したときは、

大へんな喜びようだったといわれる。

そのとき備前守《びぜんのかみ》だった忠盛は、

但馬国《たじまのくに》の国司に任ぜられ、

その上、あんなに待ち望んでいた昇殿を始めて許された。

時に忠盛は、三十六歳の男盛り、

その感激は又ひとしおであった。

 

 ところが、ここに意外なところから、反対運動がもりあがってきた。

それは、今まで、さしたるライバルもなく、

呑気《のんき》にあてがい扶持《ぶち》に満足していた公卿たちである。

「どうもあの男は、唯のネズミではない、今の内に始末しておかないと、

 とんだことになるぞ」

鷹揚《おうよう》な公卿の中にも、

敏感に頭の働く男がいたようである。

 

 それが、事のはじまりで、天承元年の十一月二十三日、

豊明《とよあかり》の節会《せちえ》の繁雑さにまぎれて、

やっつけてしまおうという計画がいつかできあがってしまった。

 

 一方忠盛の方も面白くない胸の内を、

お世辞笑いにまぎらしている公卿の気持が手に取るように判るから、

こいつは今に何か面倒なことがあるなと思っていた。

ともかく計画というものは、

大方、どこからか情報がもれてくるものだが、

恐らくは、忠盛ほどの男だから、

密偵《みってい》の一人や二人は、しのびこませていたにちがいない。

事前に、計画は筒抜《つつぬ》けになった。

 

 もちろん、こういう挑戦を聞いては、

もともと、武士の生れで、武器をとっては、後《おく》れをとらない忠盛のことだから、

内心は、むしろほくそ笑《え》んでいたのかも知れないが、

「まあ本職の武士が、

 遊び人風情の公卿なんかにやられたとあっては、名折れだし、

 第一、近頃、目をかけてくれている鳥羽院だって、がっかりしちまうだろう」

——武骨者にしては、用意周到な知恵者でもあった忠盛は、

何を思ったか、わざわざ刀を小脇にかかえて参内した。

 

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