源氏が言うのを、聞いておいでになった宮は
歎息《たんそく》をあそばしながら、
「ごもっともなお話だと思いますがね、
右大将などもあまりに変わったお好みだと不審がりますし、
子供もね、残念なようで、
大将や左衛門督《さえもんのかみ》などの息子の、
自分よりも低いもののように見下しておりました者の位階が
皆上へ上へと進んで行きますのに、
自分は浅葱《あさぎ》の袍《ほう》を着ていねばならないのを
つらく思うふうですからね。私はそれがかわいそうなのでした」
とお言いになる。
「大人らしく父を恨んでいるのでございますね。
どうでしょう、こんな小さい人が」
源氏はかわいくてならぬと思うふうで子を見ていた。
「学問などをいたしまして、
ものの理解のできるようになりましたら、
その恨みも自然になくなってまいるでしょう」
と言っていた。
🪻🎼千年物語 written byのる
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