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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語13 第1巻 清水炎上〈きよみずえんじょう〉】〜The Tale of the Heike🪷


二条帝の葬儀の際の、興福寺と延暦寺の争いは比叡山の僧兵が、

大挙して山を下るという噂《うわさ》が拡がった。

この時誰がいい出したのか、

「何でも、後白河院が、平家追討を叡山の坊主に申付けられたって話だぞ」

といったたぐいの噂が、まことしやかに、

人の口から口へと語り継がれていった。

 

慌《あわ》てた平家方は、御所の囲りをがんじがらめに警戒し、

一門は六波羅に集って、善後策を協議することになった。

慌てたのは、後白河院も同じである。

日頃から、平家の専横を快く思っていないだけに、

アリバイが危いとばかり、早速、車をとばして、

これも又六波羅へかけつけた。

 

何が何だかわからないから、清盛も不安で仕方がない。

日頃から、沈着冷静を以て聞える重盛だけが、

「そんなばかなことがあるもんか」

といって皆をなだめて廻っているが、

目に見えない不安に脅かされた人達は、

重盛の言葉にも耳を借そうとしなかった。

六波羅が、てんでに右往左往している間に、

叡山の僧兵は、六波羅には、見向きもせず、

清水《きよみず》寺へ押し寄せて、またたく間に焼き払ってしまった。

とにかくあっという間の出来事で、

どうもこれが、例の額打の仕返しとも思われるやり方であった。

 

坊主達が山に引き揚げて、

漸く京の街にも生色が蘇《よみが》えってきたので、

後白河院も、六波羅をあとにされた。

平家側からお供は重盛唯一人つき従った。

「どうも、今度の後白河院の行動はふに落ちんところがあるな」

 任を果して帰ってきた重盛に、清盛が口火をきった。

「前から、くさいくさいと思っていたんだが、

 とにかくあの人は、

 余り我々のことをよくは思っていないんだから、

 お前なんか、うまくまるめこまれて、利用されてるんじゃないのか?」

「まったく父上は、何でもずけずけいうんですなあ、

 そういうことは、私だから良いようなものの、

 他人の前では言わない方がいいですよ。

 とにかく、余計な事を考える前に、もう少し行ないを慎んで、

 人にも親切にしてやるんですな」

日頃、余りに傍若無人な父の行為に腹立ちを感じていた重盛は、

ずけずけと、言いにくい事までいってのけた。

「全く、あいつはくそ度胸の良い男だ」

清盛は、つくづくそう思った。

 

一方後白河院の方でも、一党の面々が集って、

この度の、妙な噂の出どころに就て、話が持ちあがっていた。

「どうも話がおかしいよ。

 平家追放なんて夢にも考えたこともないのになあ」

院としては、極力、身の潔白を証明したいところである。

けげんなお顔でそういうと、

傍に控えていた西光法師《さいこうほうし》という男が、

何食わぬ顔で、

「これも皆、天の配慮ですよ、

 とにかく平家の奴らは目にあまりますからね」

と、深刻な表情をしていったので、

聞いている一座の者も一寸気味が悪く、

それこそ、これが禿童《かぶろ》に聞かれでもしたらと、

みんな背筋に粟《あわ》のたつ思いをしていた。

🔥🎼#Myths written by #稿屋 隆

 

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