2024-04-10から1日間の記事一覧
「女院がお崩《かく》れになってから、 陛下が寂しそうにばかりしておいでになるのが心苦しいことだし、 太政大臣が現在では欠けているのだから、 政務は皆私が見なければならなくて、 多忙なために家《うち》へ帰らない時の多いのを、 あなたから言えば例の…
大臣は女房たちに、身分や年功で差をつけて、 故人の愛した手まわりの品、 それから衣類などを、目に立つほどにはしないで上品に分けてやった。 源氏はこうした籠居《こもりい》を続けていられないことを思って、 院の御所へ今日は伺うことにした。 車の用意…
嘉応《かおう》元年七月十六日、後白河院が出家された。といっても、今まで通り、政務は、続けられていたから、別に変りはなかった。益々わがまま一方になる平家のやり口については、心の内で、何かとご不満を感じていられた様子だったが、それを公けにされ…