夫人は今まで源氏の見せなかったことを恨んで言った。
「一人居《ゐ》て 眺めしよりは 海人《あま》の住む
かたを書きてぞ 見るべかりける
あなたにはこんな慰めがおありになったのですわね」
源氏は夫人の心持ちを哀れに思って言った。
「うきめ見し そのをりよりは 今日はまた
過ぎにし方に帰る涙か
中宮《ちゅうぐう》にだけは
お目にかけねばならない物ですよ」
源氏はその中のことにできのよいもので
しかも須磨《すま》と明石《あかし》の特色のよく出ている物を
一帖《じょう》ずつ選んでいながらも、
明石の家の描《か》かれてある絵にも、
どうしているであろうと、恋しさが誘われた。
🪷菊 written by こっけ 🪷
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