二人の女御が侍しているのであったから、
兵部卿《ひょうぶきょう》の宮は女王の後宮入りを
実現させにくくて煩悶《はんもん》をしておいでになったが、
帝が青年におなりになったなら、
外戚の自分の娘を疎外あそばすことはなかろうと
なお希望をつないでおいでになった。
宮廷の二人の女御ははなやかに挑《いど》み合った。
帝は何よりも絵に興味を持っておいでになった。
特別にお好きなせいかお描きになることもお上手であった。
斎宮の女御は絵をよく描くのでそれがお気に入って、
女御の御殿へおいでになっては
ごいっしょに絵をお描きになることを楽しみにあそばした。
殿上の若い役人の中でも絵の描ける者を
特にお愛しになる帝であったから、
まして美しい人が、
雅味《がみ》のある絵を上手に墨で描いて、
からだを横たえながら、
次の筆の下《お》ろしようを考えたりしている可憐さが
御心《みこころ》に沁《し》んで、
しばしばこちらへおいでになるようになり、
御寵愛《ちょうあい》が見る見る盛んになった。
権中納言がそれを聞くと、
どこまでも負けぎらいな性質から
有名な画家の幾人を家にかかえて、
よい絵をよい紙に、
描かせることをひそかにさせていた。
🪷夏空、静寂、蝉しぐれ(Summer sky,silent,cicadas only singing)By 蒲鉾さちこ🪷
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