いっそう恋しく思召された。
ちょうどそのころに源氏は院へ伺候した。
親しくお話を申し上げているうちに、
斎宮が下向されたことから、
院の御代《みよ》の斎宮の出発の儀式にお話が行った。
院も回想していろいろとお語りになったが、
ぜひその人を得たく思っていたとは
お言いにならないのである。
源氏はその問題を全然知らぬ顔もしながら、
どう思召していられるかが知りたくて、
話をその方向へ向けた時、
院の御表情に失恋の深い御苦痛が現われてきたのを
お気の毒に思った。
美しい人としてそれほど院が忘れがたく思召す前斎宮は、
どんな美貌《びぼう》をお持ちになるのであろうと源氏は思って、
おりがあればお顔を見たいと思っているが、
その機会の与えられないことを口惜《くちお》しがっていた。
貴女らしい奥深さをあくまで持っていて、
うかとして人に見られる隙《すき》のあるような人でない
斎宮の女御を源氏は一面では
敬意の払われる養女であると思って満足しているのであった。
🪷沈む秋 written by のる🪷
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