「あれから長い時間がたっていて、
きまりの悪い気もするが、
忘れない私の心ではいつも現在の恋人のつもりでいるよ。
でもこんなことをしてはいっそう嫌われるのではないかね」
こう言って源氏は渡した。
佐はもったいない気がしながら受け取って姉の所へ持参した。
「ぜひお返事をしてください。
以前どおりにはしてくださらないだろう、
疎外されるだろうと私は覚悟していましたが、
やはり同じように親切にしてくださるのですよ。
この使いだけは困ると思いましたけれど、
お断わりなどできるものじゃありません。
女のあなたがあの御愛情にほだされるのは当然で、
だれも罪とは考えませんよ」
などと右衛門佐は姉に言うのであった。
今はましてがらでない気がする空蝉《うつせみ》であったが、
久しぶりで得た源氏の文字に
思わずほんとうの心が引き出されたか返事を書いた。
逢坂《あふさか》の 関やいかなる 関なれば
繁《しげ》きなげきの 中を分くらん
夢のような気がいたしました。
とある。
🍁時の残影 written by のる🍁
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