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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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【源氏物語562 第17帖 絵合15】女院は興味深く思召して、日本最初の小説である竹取の翁と空穂の俊蔭の巻を左右にして論評をお聞きになった。


思い思いのことを主張する弁論を

女院は興味深く思召《おぼしめ》して、

まず日本最初の小説である竹取の翁《おきな》と

空穂《うつぼ》の俊蔭《としかげ》の巻を左右にして

論評をお聞きになった。

「竹取の老人と同じように古くなった小説ではあっても、

 思い上がった主人公の赫耶《かぐや》姫の性格に

 人間の理想の最高のものが暗示されていてよいのです。

 卑近なことばかりがおもしろい人にはわからないでしょうが」

と左は言う。

右は、

「赫耶姫の上った天上の世界というものは空想の所産にすぎません。

 この世の生活の写してある所はあまりに非貴族的で

 美しいものではありません。

 宮廷の描写などは少しもないではありませんか。

 赫耶姫は竹取の翁の一つの家を

 照らすだけの光しかなかったようですね。

 安部の多《おおし》が大金で買った毛皮が

 めらめらと焼けたと書いてあったり、

 あれだけ蓬莱《ほうらい》の島を

 想像して言える倉持《くらもち》の皇子《みこ》が

 贋物《にせもの》を持って来て

 ごまかそうとしたりするところがとてもいやです」

 この竹取の絵は巨勢《こせ》の相覧《おうみ》の筆で、

 詞《ことば》書きは貫之《つらゆき》がしている。

 紙屋紙《かんやがみ》に

 唐錦《からにしき》の縁が付けられてあって、

 赤紫の表紙、紫檀《したん》の軸で穏健な体裁である。

「俊蔭は暴風と波に弄《もてあそ》ばれて異境を漂泊しても

 芸術を求める心が強くて、

 しまいには外国にも日本にもない音楽者になったという筋が

 竹取物語よりずっとすぐれております。

 それに絵も日本と外国との対照が

 おもしろく扱われている点ですぐれております」

 と右方は主張するのであった。

 これは式紙地《しきしじ》の紙に書かれ、

 青い表紙と黄玉《おうぎょく》の軸が付けられてあった。

 絵は常則《つねのり》、

 字は道風であったから派手な気分に満ちている。

 左はその点が不足であった。

🪻雪風 written by のる🪻

🌸第17帖 絵合(えあわせ)の内容はこちら

 

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