「せっかくよこしたのだから」
と言いながらそれに着かえた。
今まで着ていた衣服は女の所へやった。
思い出させる恋の技巧というものである。
自身のにおいの沁《し》んだ着物が
どれだけ有効な物であるかを源氏はよく知っていた。
「もう捨てました世の中ですが、
今日のお送りのできませんことだけは残念です」
などと言っている入道が、
両手で涙を隠しているのがかわいそうであると源氏は思ったが、
他の若い人たちの目にはおかしかったに違いない。
💐🎼追憶 written by しゃろう💐
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