源氏のような音楽の天才である人が、
はじめて味わう妙味であると思うような手もあった。
飽満するまでには聞かせずにやめてしまったのであるが、
源氏はなぜ今日までにしいても弾かせなかったかと残念でならない。
熱情をこめた言葉で源氏はいろいろに将来を誓った。
「この琴はまた二人で合わせて弾く日まで形見にあげておきましょう」
と源氏が琴のことを言うと、
女は、
なほざりに 頼めおくめる 一ことを
つきせぬ音《ね》にやかけてしのばん‥
🌕🎼神秘的な和の夜 written by ゆうり🌕
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