世をうみに ここらしほじむ 身となりて
なほこの岸を えこそ離れね
子供への申しわけにせめて国境まではお供をさせていただきます」
と入道は言ってから、
「出すぎた申し分でございますが、
思い出しておやりくださいます時がございましたら
御音信をいただかせてくださいませ」
などと頼んだ。
悲しそうで目のあたりの赤くなっている源氏の顔が美しかった。
「私には当然の義務であることもあるのですから、
決して不人情な者でないと
すぐにまたよく思っていただくような日もあるでしょう。
私はただこの家と離れることが名残《なごり》惜しくてならない、
どうすればいいことなんだか」
と言って、
都出《い》でし 春の歎《なげ》きに 劣らめや
年ふる浦を 別れぬる秋
と涙を袖で源氏は拭《ぬぐ》っていた。
これを見ると
入道は気も遠くなったように萎《しお》れてしまった。
🌸🎼届かない声 written by K’z Art Storage 🌸
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