ほのかな灯影《ほかげ》が
病牀《びょうしょう》の几帳をとおしてさしていたから、
あるいは見えることがあろうかと静かに寄って
几帳の綻《ほころ》びからのぞくと、
明るくはない光の中に昔の恋人の姿があった。
美しくはなやかに思われるほどに切り残した髪が背にかかっていて、
脇息によった姿は絵のようであった。
源氏は哀れでたまらないような気がした。
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