源氏は聞いて、恋人として考えるよりも、
首肯される意見を持つよき相談相手と信じていた
その人の生命《いのち》が惜しまれて、
驚きながら六条邸を見舞った。
源氏は真心から御息所をいたわり、
御息所を慰める言葉を続けた。
病床の近くに源氏の座があって、
御息所は脇息《きょうそく》に倚りかかりながらものを言っていた。
非常に衰弱の見える昔の恋人のために源氏は泣いた。
どれほど愛していたかを
この人に実証して見せることができないままで
死別をせねばならぬかと残念でならないのである。
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