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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

第九帖 葵(あおい)源氏物語

【源氏物語159 第九帖 葵32】妻、葵の上に十分な愛を示さなかったことを後悔する源氏

「こんな老人になってから、 若盛りの娘に死なれて無力に私は泣いているじゃないか」 恥じてこう言って泣く大臣を悲しんで見ぬ人もなかった。 夜通しかかったほどの大がかりな儀式であったが、 終局は煙にすべく 遺骸を広い野に置いて来るだけの寂しいことに…

葵上は冷たくなってしまった【源氏物語158 第九帖 葵31】あらゆる蘇生法を試すものの 葵上は亡骸であることを証明するだけであった。

これまで物怪《もののけ》のために 一時的な仮死状態になったことも たびたびあったのを思って、 死者として枕を直すこともなく、 二、三日はなお病夫人として寝させて、 蘇生《そせい》を待っていたが、 時間はすでに亡骸《なきがら》であることを証明する…

葵上の急死【源氏物語157 第九帖 葵30】葵上の死に 左大臣家は悲しみに沈む

秋の官吏の昇任の決まる日であったから、 大臣も参内したので、 子息たちもそれぞれの希望があって このごろは大臣のそばを離れまいとしているのであるから 皆続いてそのあとから出て行った。 いる人数が少なくなって、 邸内が静かになったころに、 葵の君は…

【源氏物語156 第九帖 葵29】衰弱した葵上は非常に可憐で美しい。すれ違ってきた夫婦はお互いを愛おしく思う

非常な美人である夫人が、衰弱しきって、 あるかないかのようになって寝ているのは 痛々しく可憐《かれん》であった。 少しの乱れもなくはらはらと枕にかかった髪の美しさは 男の魂を奪うだけの魅力があった。 なぜ自分は長い間この人を 飽き足らない感情を…

【源氏物語155 第九帖 葵28】葵上に優しいく話しかける源氏。葵上は弱々しく返事をする

「御所などへあまり長く上がらないで気が済みませんから、 今日私ははじめてあなたから離れて行こうとするのですが、 せめて近い所に行って話をしてからにしたい。 あまりよそよそし過ぎます。こんなのでは」 と源氏は夫人へ取り次がせた。 「ほんとうにそう…

源氏は 葵上の産んだ若君を慈しむ【源氏物語154 第九帖 葵27】御息所の生き霊を見た源氏は苦悶する。御息所を気遣い手紙だけは送る

少し安心を得た源氏は、生霊をまざまざと目で見、 御息所の言葉を聞いた時のことを思い出しながらも、 長く訪ねて行かない心苦しさを感じたり、 また今後御息所に接近してもあの醜い記憶が心にある間は、 以前の感情でその人が見られるかということは 自身の…

御息所の身体には護摩の芥子の香り【源氏物語153 第九帖 葵26】着替えても髪を洗っても改まらない

六条の御息所はそういう取り沙汰を聞いても 不快でならなかった。 夫人はもう危いと聞いていたのに、 どうして子供が安産できたのであろうと、 こんなことを思って、 自身が失神したようにしていた幾日かのことを、 静かに考えてみると、 着た衣服などにも祈…

葵上は若君を産む【源氏物語152第九帖葵25】危険は去ったと高僧達もホッとした。左大臣家は悦びに包まれた。

病苦にもだえる声が少し静まったのは、 ちょっと楽になったのではないかと 宮様が飲み湯を持たせておよこしになった時、 その女房に抱き起こされて間もなく子が生まれた。 源氏が非常にうれしく思った時、 他の人間に移してあったのが 皆 口惜《くちお》しが…

葵上に乗り移った六条御息所【源氏物語151 第九帖 葵24】六条御息所の生き霊は法力を緩めてほしいと伝える。

「そんなに悲しまないでいらっしゃい。 それほど危険な状態でないと私は思う。 またたとえどうなっても 夫婦は来世でも逢えるのだからね。 御両親も親子の縁の結ばれた間柄は また特別な縁で 来世で再会ができるのだと信じていらっしゃい」 と源氏が慰めると…

夫婦の心が通い合う【源氏物語150 第九帖 葵23】病みやつれながらも美しい葵上を心から愛おしく思う源氏

几帳の垂れ絹を引き上げて源氏が中を見ると、 夫人は美しい顔をして、 そして腹部だけが盛り上がった形で寝ていた。 他人でも涙なしには見られないのを、 まして良人である源氏が見て惜しく悲しく思うのは道理である。 白い着物を着ていて、 顔色は病熱では…

【源氏物語149 第九帖 葵22】葵上が祈祷を緩めてほしいと言う。父母たちは頼み少なくなった娘は、夫に何か言い置くことがあるのかもしれないと思って座を避けた。

まだ産期には早いように思って一家の人々が油断しているうちに 葵の君はにわかに生みの苦しみにもだえ始めた。 病気の祈祷のほかに安産の祈りも数多く始められたが、 例の執念深い一つの物怪だけはどうしても夫人から離れない。 名高い僧たちもこれほどの物…

斎宮は九月から嵯峨の野宮にお入りになる【源氏物語148 第九帖 葵21】ぼんやりと横になって過ごすことが多かった。

斎宮は去年にもう御所の中へお移りになるはずであったが、 いろいろな障《さわ》りがあって、 この秋いよいよ潔斎生活の第一歩をお踏み出しになることとなった。 そしてもう九月からは嵯峨《さが》の野の宮へおはいりになるのである。 それとこれと二度ある…

源氏への愛憎に苦しむ御息所【源氏物語147 第九帖 葵20】斎宮はこの秋潔斎生活の第一歩をお踏み出しになることになった。

ないことも悪くいうのが世間である、 ましてこの際の自分は 彼らの慢罵欲《まんばよく》を 満足させるのによい人物であろうと思うと、 御息所は名誉の傷つけられることが苦しくてならないのである。 死んだあとにこの世の人へ恨みの残った霊魂が 現われるの…

御息所は 美しい姫君に乱暴している夢をみる【源氏物語146 第九帖 葵19】魂が身体をを離れて行ったのであろうか‥失神状態に御息所がなっている時もある

葵の君の容体はますます悪い。 六条の御息所の生霊であるとも、 その父である故人の大臣の亡霊が 憑いているとも言われる噂の聞こえて来た時、 御息所は自分自身の薄命を歎《なげ》くほかに 人を咀《のろ》う心などはないが、 物思いがつのればからだから離…

男の言い訳 女の諦め🌸【源氏物語145 第九帖 葵18】源氏は、何もかも優れた女人であっても ある一人に愛を集めることができないことを苦しく思った

この間 うち少し癒《よ》くなっていたようでした病人に またにわかに悪い様子が見えてきて 苦しんでいるのを見ながら出られないのです。 とあるのを、 例の上手な口実である、 と見ながらも御息所は返事を書いた。 「袖《そで》濡《ぬ》るる こひぢとかつは …

源氏は 御息所に会いにいく【源氏物語144 第九帖 葵17】言い訳をする源氏🌿恨みも疑いも氷解したわけではないが 美しい源氏から離れられそうにない御息所

物思いは御息所の病をますます昂《こう》じさせた。 斎宮をはばかって、 他の家へ行って修法などをさせていた。 源氏はそれを聞いてどんなふうに悪いのかと 哀れに思って訪ねて行った。 自邸でない人の家であったから、 人目を避けてこの人たちは逢った。 本…

苦しみ続ける葵上【源氏物語143 第九帖 葵16】噂に六条御息所は不快な気分になる。院からは お見舞いが来る上、祈祷も別にさせておいでになる。

左大臣家の人たちは、 源氏の愛人をだれかれと数えて、 それらしいのを求めると、 結局六条の御息所と二条の院の女は 源氏のことに愛している人であるだけ夫人に 恨みを持つことも多いわけであると、 こう言って、 物怪に言わせる言葉からその主を知ろうとし…

葵上から片時も離れぬ物の怪【源氏物語142 第九帖 葵15】どんな修験僧の力を持ってしても自由にすることができない執念、並のものとは思われぬ🙏

葵夫人は物怪《もののけ》がついたふうの容体で非常に悩んでいた。 父母たちが心配するので、 源氏もほかへ行くことが遠慮される状態なのである。 二条の院などへもほんの時々帰るだけであった。 夫婦の中は睦《むつ》まじいものではなかったが、 妻としてど…

賢い女の不幸は男の狡さが読めること🍃【源氏物語141 第九帖 葵14】男を愛することは我が身の不幸と分かっている。愛と理性の間で彷徨う御息所の心

自身の心を定めかねて、 寝てもさめても煩悶をするせいか、 次第に心がからだから離れて行き、 自身は空虚なものになっているという気分を 味わうようになって、 病気らしくなった。 源氏は初めから伊勢へ行くことに 断然不賛成であるとも言い切らずに、 「…

六条御息所の心は限界に😢【源氏物語140 第九帖 葵13】愛するが故の煩悶に苦しむ御息所。信頼できぬ愛と分かりつつ 断ち切れぬ女の心

今日の源氏が女の同乗者を持っていて、 簾《みす》さえ上げずに来ているのをねたましく思う人が多かった。 御禊の日の端麗だった源氏が 今日はくつろいだふうに物見車の主になっている、 並んで乗っているほどの人は並み並みの女ではないはずであると こんな…

元気イキイキhappyアラフィフ源典侍🌷【源氏物語139 第九帖 葵12】祭りの日、源氏は 源典侍に車の場所を譲ってもらう🚘

今日も町には隙間《すきま》なく車が出ていた。 馬場殿あたりで祭りの行列を見ようとするのであったが、 都合のよい場所がない。 「大官連がこの辺にはたくさん来ていて面倒な所だ」 源氏は言って、 車をやるのでなく、停《と》めるのでもなく、 躊躇《ちゅ…

源氏は紫の君の髪そぎをする【源氏物語138 第九帖 葵 11】姫君の豊かで美しい髪をそぐ。

きれいに装った童女たちを点見したが、 少女らしくかわいくそろえて切られた髪の裾が 紋織の派手な袴《はかま》にかかっているあたりが ことに目を惹いた。 「女王さんの髪は私が切ってあげよう」 と言った源氏も、 「あまりたくさんで困るね。 大人になった…

御息所を訪問したが会ってもらえない源氏【源氏物語137 第九帖 葵10】源氏は紫の姫の髪そぎをする。

貴婦人としての資格を十分に備えながら、 情味に欠けた強い性格から、 自身はそれほどに憎んではいなかったであろうが、 そうした一人の男を巡って 愛の生活をしている人たちの間は また一種の愛で 他を見るものであることを知らない女主人の意志に 習って付…

結婚を選ばぬ愛の形🌸朝顔の姫君【源氏物語136 第九帖 葵9】車争いのことで源氏は六条御息所に同情をする。

源氏の情人である人たちは、 恋人のすばらしさを眼前に見て、 今さら自身の価値に反省をしいられた気がした。 だれもそうであった。 式部卿の宮は桟敷《さじき》で見物しておいでになった。 まぶしい気がするほどきれいになっていく人である。 あの美に神が…

今も昔も祭りはワクワク🌷【源氏物語135 第九帖 葵8】行列に参加した人々は皆美しく身を飾っているが 源氏が抜きん出て美しい。誰も彼も源氏に夢中である。

行列に参加した人々は 皆 分相応に美しい装いで身を飾っている中でも 高官は高官らしい光を負っていると見えたが、 源氏に比べるとだれも見栄えがなかったようである。 大将の臨時の随身を、 殿上にも勤める近衛の尉《じょう》が するようなことは例の少ない…

深く愛する故の妄執【源氏物語134 第九帖 葵7】御息所の前を知らぬまま通り過ぎ、左大臣家に敬意を表す源氏。屈辱に涙を流す御息所

源氏は御息所の来ていることなどは 少しも気がつかないのであるから、 振り返ってみるはずもない。 気の毒な御息所である。 前から評判のあったとおりに、 風流を尽くした物見車に たくさんの女の乗り込んでいる中には、 素知らぬ顔は作りながらも 源氏の好…

女の恨みはなぜか 女に向かうもの【源氏物語132 第九帖 葵 5】祭りの日、お忍びの御息所の車を左大臣家の家従が押し退ける。

邸《やしき》を出たのはずっと朝もおそくなってからだった。 この一行はそれほどたいそうにも見せないふうで出た。 車のこみ合う中へ幾つかの左大臣家の車が続いて出て来たので、 どこへ見物の場所を取ろうかと迷うばかりであった。 貴族の女の乗用らしい車…

御禊の日 運命は狂い出す【源氏物語131 第九帖 葵4】葵上は懐妊中であるが母宮の勧めで 西院の禊の行列を見物に行く。

そのころ前代の加茂《かも》の斎院《さいいん》が おやめになって皇太后腹の院の女三の宮が新しく斎院に定まった。 院も太后もことに愛しておいでになった内親王であるから、 神の奉仕者として常人と違った生活へおはいりになることを 御親心に苦しく思召《…

妻と夫 近いが故のすれ違い【源氏物語130 第九帖 葵 3】朝顔の姫君は 源氏と恋仲にはならず、よい距離感をとる。葵の上は妊娠中で心細い。源氏は葵を愛おしく思う。

この噂《うわさ》が世間から伝わってきた時、 式部卿《しきぶきょう》の宮の朝顔の姫君は、 自分だけは源氏の甘いささやきに酔って、 やがては苦い悔いの中に 自己を見いだす愚を学ぶまいと心に思うところがあって、 源氏の手紙に時には短い返事を書くことも…

女の恨みは買ってはならぬ【源氏物語129 第九帖 葵 2】先の東宮と六条御息所の女王が伊勢斎宮に選定。六条御息所は斎宮と共に伊勢に下ろうと考えていた。桐壺院は源氏にお小言をお言いになった。

あの六条の御息所《みやすどころ》の生んだ 前皇太子の忘れ形見の女王が 斎宮《さいぐう》に選定された。 源氏の愛のたよりなさを感じている御息所は、 斎宮の年少なのに托《たく》して自分も伊勢へ下ってしまおうかと その時から思っていた。 この噂《うわ…