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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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【源氏物語166 第九帖 葵39】源氏の美しさに 先だって死んだ場合に女の魂は離れていくまいと中将は思った。

相逢相失両如夢《あひあひあひうしなふふたつながらゆめのごとし》

 為雨為雲今不知《あめとやなるくもとやなるいまはしらず》

と口ずさみながら頬杖《ほおづえ》をついた源氏を、

女であれば先だって死んだ場合に魂は必ず離れて行くまいと

好色な心に中将を思って、

じっとながめながら近づいて来て一礼してすわった。

 

源氏は打ち解けた姿でいたのであるが、

客に敬意を表するために、

直衣の紐《ひも》だけは掛けた。

源氏のほうは中将よりも少し濃い鈍色

きれいな色の紅の単衣を重ねていた。

こうした喪服姿はきわめて艶《えん》である。

 

中将も悲しい目つきで庭のほうをながめていた。

雨となり しぐるる空の 浮き雲を

いづれの方と分《わ》きてながめん

どこだかわからない。

と独言《ひとりごと》のように言っているのに

源氏は答えて

見し人の 雨となりにし 雲井さへ

いとど時雨《しぐれ》に 掻《か》きくらす頃

というのに、

故人を悲しむ心の深さが見えるのである。

 

中将はこれまで、院の思召《おぼしめ》しと、

父の大臣の好意、母宮の叔母君である関係、

そんなものが源氏をここに引き止めているだけで、

妹を熱愛するとは見えなかった、

自分はそれに同情も表していたつもりであるが、

表面とは違った動かぬ愛を

妻に持っていた源氏であったのだと

この時はじめて気がついた。

それによってまた妹の死が惜しまれた。

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