不快でならなかった。
夫人はもう危いと聞いていたのに、
どうして子供が安産できたのであろうと、
こんなことを思って、
自身が失神したようにしていた幾日かのことを、
静かに考えてみると、
着た衣服などにも祈りの僧が焚く護摩《ごま》の香が
沁《し》んでいた。
不思議に思って、髪を洗ったり、着物を変えたりしても、
やはり改まらない。
御息所は世間で言う生霊の説の否認しがたいことを悲しんで、
人がどう批評するであろうかと、
だれに話してみることでもないだけに心一つで苦しんでいた。
いよいよ自分の恋愛を清算してしまわないではならないと、
それによってまた強く思うようになった。
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