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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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女の恨みは買ってはならぬ【源氏物語129 第九帖 葵 2】先の東宮と六条御息所の女王が伊勢斎宮に選定。六条御息所は斎宮と共に伊勢に下ろうと考えていた。桐壺院は源氏にお小言をお言いになった。

あの六条の御息所《みやすどころ》の生んだ

前皇太子の忘れ形見の女王

斎宮《さいぐう》に選定された。

源氏の愛のたよりなさを感じている御息所は、

斎宮の年少なのに托《たく》して自分も伊勢へ下ってしまおうかと

その時から思っていた。

 

この噂《うわさ》を院がお聞きになって、

「私の弟の東宮が非常に愛していた人を、

 おまえが何でもなく扱うのを見て、

 私はかわいそうでならない。

 斎宮なども姪でなく

 自分の内親王と同じように思っているのだから、

 どちらからいっても御息所を尊重すべきである。

 多情な心から、熱したり、冷たくなったりしてみせては

 世間がおまえを批難する」

と源氏へお小言《こごと》をお言いになった。

源氏自身の心にもそう思われることであったから、

ただ恐縮しているばかりであった。

 

「相手の名誉をよく考えてやって、

 どの人をも公平に愛して、

 女の恨みを買わないようにするがいいよ」

御忠告を承りながらも、中宮を恋するあるまじい心が、

こんなふうにお耳へはいったらどうしようと恐ろしくなって、

かしこまりながら院を退出したのである。

 

院までも

御息所との関係を

認めての仰せがあるまでに なっているのであるから、

女の名誉のためにも、

自分のためにも軽率なことはできないと思って、

以前よりもいっそうその恋人を尊重する傾向にはなっているが、

源氏はまだ公然に妻である待遇はしないのである。

 

女も年長である点を恥じて、

しいて夫人の地位を要求しない。

源氏はいくぶんそれをよいことにしている形で、

院も御承知になり、

世間でも知らぬ人がないまでになって

なお今も誠意を見せないと女は深く恨んでいた。

 

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【第十帖 葵(あおい)】

桐壺帝が譲位し、源氏の兄の朱雀帝が即位する。

藤壺中宮の若宮が東宮となり、

源氏は東宮の後見人となる。

また、六条御息所と前東宮の娘

(後の秋好中宮)が斎宮となった。

 

賀茂祭の御禊(賀茂斎院が加茂川の河原で禊する)の日、

源氏も供奉のため参列する。

その姿を見ようと

身分を隠して見物していた六条御息所の一行は、

同じくその当時懐妊して体調が悪く

気晴らしに見物に来ていた源氏の正妻・葵の上の一行と、

見物の場所をめぐっての車争いを起こす。

 

葵の上の一行の権勢にまかせた乱暴によって

六条御息所の牛車は破損、

御息所は見物人であふれる一条大路で

恥をかかされてしまう。

大臣の娘で元東宮妃である御息所にとって

これは耐え難い屈辱で、彼女は葵の上を深く恨んだ。

役目を終え、左大臣邸に行った源氏は、

事の一部始終を聞かされ驚愕。

御息所の屋敷へ謝罪に向かうが、門前払いされた。

 

勅使の役目を終え、久々の休日。

源氏は紫の君を伴い、賀茂祭へ。

相変わらずの混雑振りに、

惟光は牛車を停める場所を探すのに難儀していたが、

そこへ手招きする別の牛車が。

場所を譲ってくれた礼を言おうと、

顔を覗き込んだら、車の主は源典侍だった。

がっくりする源氏。

 

その後葵の上は、病の床についてしまう。

それは六条御息所の生霊の仕業だった。

源氏も苦しむ葵の上に付き添ったが、

看病中に御息所の生霊を目撃してしまい愕然とする。

 

8月の中ごろに葵の上は難産のすえ男子(夕霧)を出産するが、

数日後の秋の司召の夜に容体が急変し亡くなった。

 

同じ頃。御息所は、いく度髪を洗っても衣を変えても、

自身の体に染み付いた魔除けの芥子の香りが消えないことに、

愕然としていた。

女房からの知らせで、葵の上の訃報を知り、青ざめる。

 

火葬と葬儀は8月20日過ぎに行われた。

葵の上の四十九日が済んだ後、

源氏は夕霧の養育を左大臣家に託した。

 

源氏は二条院に戻り、

美しく成長した紫の君と密かに結婚する。

突然のことに紫の上は衝撃を受けて

すっかりふさぎこみ口をきこうともしなかったが、

源氏はこれを機に彼女の素性を父兵部卿宮と

世間に公表することにした。

 

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