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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【源氏物語774 第24帖 胡蝶 18〈こちょう〉】二人並んで身を横たえていることで、源氏の心は昔が蘇った。源氏は、これは軽率なことであると考えられ、人も不審を起こすであろうと、あまり夜も更かさないで帰った。

こうして二人並んで身を横たえていることで、 源氏の心は昔がよみがえったようにも思われるのである。 自身のことではあるが、これは軽率なことであると考えられて、 反省した源氏は、人も不審を起こすであろうと思って、 あまり夜も更《ふ》かさないで帰っ…

【源氏物語773 第24帖 胡蝶17 〈こちょう〉】‥私のような大きい愛で貴女を包もうとしている者はこの世にない、私が他の求婚者たちの熱心の度に飽き足らないのはもっともでしょう」と源氏は言う。変態的な理屈である。

「なぜそんなに私をお憎みになる。 今まで私はこの感情を上手《じょうず》におさえていて、 だれからも怪しまれていなかったのですよ。 あなたも人に悟らせないようにつとめてください。 もとから愛している上に、そうなればまた愛が加わるのだから、 それほ…

【源氏物語772 第24帖 胡蝶 16〈こちょう〉】夕顔の君にそのままなあなたを家の中で見ることは、夢でないかとうれしいにつけても、また昔が思われます。あなたも私を愛してください」と言って、玉鬘の手を取った。

そこに置かれてあった箱の蓋《ふた》に、 菓子と橘《たちばな》の実を混ぜて盛ってあった中の、 橘を源氏は手にもてあそびながら、 「橘のかをりし袖《そで》によそふれば変はれる身とも思ほえぬかな 長い年月の間、どんな時にも恋しく思い出すばかりで、 慰…

【源氏物語771 第24帖 胡蝶15 〈こちょう〉】庭の若楓と柏の木が繁り、何とはなしに爽快な気がするのを眺めながら、源氏は「和しまた清し」と詩の句を口ずさんでいたが、玉鬘の豊麗な容貌が、思い出され西の対へ行く。

気にかかる玉鬘を源氏はよく見に行った。 しめやかな夕方に、 前の庭の若楓《わかかえで》と柏《かしわ》の木がはなやかに繁り合っていて、 何とはなしに爽快《そうかい》な気のされるのをながめながら、 源氏は「和しまた清し」と詩の句を口ずさんでいたが…

【源氏物語770 第24帖 胡蝶14 〈こちょう〉】玉鬘の君への ほめ言葉を聞いていて紫の上は、単に養女として愛する以外の愛をその人に持つことになっていく経路を、源氏の性格から推して察したのである。

源氏は別れぎわに玉鬘の言ったことで、 いっそうその人を可憐に思って、夫人に話すのであった。 「不思議なほど調子のなつかしい人ですよ。 母であった人はあまりに反撥《はんぱつ》性を欠いた人だったけれど、 あの人は、物の理解力も十分あるし、美しい才…

【源氏物語769 第24帖 胡蝶 13〈こちょう〉】実父とはいえ初めから育てられいないし、これほどこまやかな愛を向けないのではないかと玉鬘は想像し、源氏を無視して勝手に父へ名乗れないとしていた。

こう源氏はまじめに言っていたが、 玉鬘はどう返事をしてよいかわからないふうを続けているのも さげすまれることになるであろうと思って言った。 「まだ物心のつきませんころから、 親というものを目に見ない世界にいたのでございますから、 親がどんなもの…

【源氏物語768 第24帖 胡蝶 12〈こちょう〉】夫人が嫉妬を見せないで自然に矯正させる努力さえすれば、世間へ醜態も見せずに穏やかに済みますが、そうでなければ夫婦仲がうまくゆかずに、夫の愛を失う結果にもなります‥

「私がいろいろと考えたり、言ったりしていても、 あなたにこうしたいと思っておいでになることがないのであろうかと、 気づかわしい所もあります。 内大臣に名のって行くことも、まだ結婚前のあなたが、 長くいっしょにいられる夫人や子供たちの中へはいっ…

【源氏物語742 第23帖 初音1〈はつね〉】新春第一日の麗らかな光のもと、六条院の新春の眺めは格別であった。紫の上の住居は梅花の香りも御簾の中の香と紛らわしく漂い現世の極楽のようである。

〜新春第一日の空の完全にうららかな光のもとには、 どんな家の庭にも雪間の草が緑のけはいを示すし、 春らしい霞《かすみ》の中では、 芽を含んだ木の枝が生気を見せて煙っているし、 それに引かれて人の心ものびやかになっていく。 まして玉を敷いたと言っ…

【源氏物語 第25帖 蛍①〈ほたる〉】光源氏36歳の5月の話。

五月雨の頃、兵部卿宮から玉鬘に文が届き、源氏はそれに返事を書かせた。 喜び勇んで六条院にやってきた兵部卿宮の前で、 源氏は几帳の内に蛍を放ち、その光で玉鬘の姿を浮かび上がらせて見せた。 予想以上の美しさに心を奪われた兵部卿宮は想いを和歌で訴え…

【源氏物語767 第24帖 胡蝶11〈こちょう〉】玉鬘の君は、紫夫人などの感化を受け、柔らかな、繊細な美が一挙一動に現われ、華やかな美人になっていた。人の妻にさせては後悔が残るであろうと源氏は思った。

派手な薄色の小袿《こうちぎ》に撫子《なでしこ》色の細長を 着ている取り合わせも若々しい感じがした。 身の取りなしなどに難はなかったというものの、 以前は田舎の生活から移ったばかりのおおようさが見えるだけのものであった。 紫夫人などの感化を受け…

【源氏物語766 第24帖 胡蝶10〈こちょう〉】髭黒右大将が高官の典型のようなまじめな風采をして、恋の山には孔子も倒れるという諺を遂げるような熱意のある手紙を書いているのも源氏に面白く思われた。

右大将が高官の典型のようなまじめな風采《ふうさい》をしながら、 恋の山には孔子も倒れるという諺《ことわざ》を ほんとうにして見せようとするふうな熱意のある手紙を書いているのも 源氏にはおもしろく思われた。 そうした幾通かの中に、 薄青色の唐紙の…

【源氏物語765 第24帖 胡蝶9〈こちょう〉】弟の兵部卿の宮がまだ何ほどの時間が経過してないのに」、もうあせって恨みらしいことをお書きになった手紙を見いだして心からおかしそうに源氏は笑った。

衣がえをする初夏は、 空の気持ちなども理由なしに感じのよい季節であるが、 閑暇《ひま》の多い源氏はいろいろな遊び事に時を使っていた。 玉鬘のほうへ男性から送って来る手紙の多くなることに興味を持って、 またしても西の対へ出かけてはそれらの懸想文…

【源氏物語764 第24帖 胡蝶8〈こちょう〉】玉鬘の姫君は踏歌の日以来、紫の上へも手紙を書いて送るようになった。落ち着いた懐かしい気持ちの人だと認められて、花散里からも紫の上からも好意を持たれた。

そんなことをあまりこまごまと記述することは 読者にうるさいことであるから省略する。 毎日のようにこうした遊びをして暮らしている六条院の人たちであったから、 女房たちもまた幸福であった。 各夫人、姫君の間にも手紙の行きかいが多かった。 玉鬘《たま…

【源氏物語763 第24帖 胡蝶7〈こちょう〉】殿上役人が手に手に宮の纏頭《てんとう》を持って童女へ賜わった。鳥には桜の色の細長、蝶へは山吹襲《やまぶきがさね》をお出しになったのである

紫の女王の手紙は子息の源中将が持って来た。 『花園の胡蝶《こてふ》をさへや下草に秋まつ虫はうとく見るらん』 というのである。 中宮はあの紅葉《もみじ》に対しての歌であると微笑して見ておいでになった。 昨日 招かれて行った女房たちも春をおけなしに…

【源氏物語762 第24帖 胡蝶6】仏前へ花が供せられるのであったが、美しい童女八人に、蝶と鳥を形どった服装をさせ、鳥は銀の花瓶に桜のさしたのを持たせ、蝶には金の花瓶に山吹をさしたのを持たせてあった。

今朝《けさ》の管絃楽はまたいっそうおもしろかった。 この日は中宮が僧に行なわせられる読経《どきょう》の初めの日であったから、 夜を明かした人たちは、 ある部屋部屋《へやべや》で休息を取ってから、 正装に着かえてそちらへ出るのも多かった。 障《さ…

【源氏物語761 第24帖 胡蝶5〈こちょう〉】兵部卿の宮も長く同棲しておいでになった夫人を亡くして、もう三年余りも寂しい独身生活をしておいでになるのであったから、最も熱心な求婚者であった。

兵部卿の宮も長く同棲しておいでになった夫人を亡くしておしまいになって、 もう三年余りも寂しい独身生活をしておいでになるのであったから、 最も熱心な求婚者であった。 今朝《けさ》もずいぶん酔ったふうをお作りになって、 藤《ふじ》の花などを簪《か…

【源氏物語360第24帖 胡蝶4〈こちょう〉】西の対の姫君なる人が出現して、源氏が愛して大事にかしずくことが世間に知れた今日では、源氏の予期したとおりに思慕を寄せる者、求婚者になる者が多かった。

終夜音楽はあった。 呂《ろ》の楽を律へ移すのに 「喜春楽《きしゅんらく》」が奏されて、兵部卿《ひょうぶきょう》の宮は 「青柳《あおやぎ》」を二度繰り返してお歌いになった。 それには源氏も声を添えた。夜が明け放れた。 この朝ぼらけの鳥のさえずりを…

【源氏物語759 第24帖 胡蝶3〈こちょう〉】人々の船は歓楽陶酔の中に岸へ着き、設けられた釣殿の休息所へはいった。ここの室内の装飾は簡単なふうにしてあって、しかも艶なものであった。

風吹けば浪《なみ》の花さへ色見えてこや名に立てる山吹の崎《さき》 春の池や井手の河瀬《かはせ》に通ふらん岸の山吹底も匂《にほ》へり 亀《かめ》の上の山も訪《たづ》ねじ船の中に老いせぬ名をばここに残さん 春の日のうららにさして行く船は竿《さを》…

【源氏物語758 第24帖 胡蝶②〈こちょう〉】竜頭鷁首《りゅうとうげきしゅ》の船はすっかり唐風に装われてあって、梶取り、棹取りの童侍は髪を耳の上でみずらに結わせて、支那風の小童に仕立ててあった。

竜頭鷁首《りゅうとうげきしゅ》の船はすっかり唐風に装われてあって、 梶取《かじと》り、棹取《さおと》りの童侍《わらわざむらい》は 髪を耳の上でみずらに結わせて、 これも支那《しな》風の小童に仕立ててあった。 大きい池の中心へ船が出て行った時に…

【🌼10分で聴く源氏物語 第23帖 初音③】源氏は空蝉を訪ねる。仏勤めに傾倒する様子が見えた。経巻の作りよう、仏像の飾り、ちょっとした閼伽《あか》の器具などにも空蝉のよい趣味が見えてなつかしかった。

空蝉《うつせみ》の尼君の住んでいる所へ源氏は来た。 そこの主人《あるじ》らしくここは住まずに、 目だたぬ一室にいて、住居《すまい》の大部分を仏間に取った空蝉が 仏勤めに傾倒して暮らす様子も哀れに見えた。 経巻の作りよう、仏像の飾り、ちょっとし…

【🪷10分で聴く源氏物語 第23帖 初音②】親王方も高官達も 六条院の新年宴会に出席した。音楽の遊びがあり贈り物にに六条院にのみよくする華奢が見えた。皆きらびやかにしているが、源氏に準じる人はいない。

源氏はまだようやく曙《あけぼの》ぐらいの時刻に南御殿へ帰った。 こんなに早く出て行かないでもいいはずであるのにと、 明石はそのあとでやはり物思わしい気がした。 紫の女王はまして、失敬なことであると、 不快に思っているはずの心がらを察して、 「ち…

【🌸10分で聴く源氏物語 第23帖 初音①】春の女王《にょおう》の住居はとりわけすぐれていた。梅花の香りも御簾の中の薫物《たきもの》の香と紛らわしく漂っていて、現世の極楽がここであるような気がした。

新春第一日の空の完全にうららかな光のもとには、 どんな家の庭にも雪間の草が緑のけはいを示すし、 春らしい霞《かすみ》の中では、 芽を含んだ木の枝が生気を見せて煙っているし、 それに引かれて人の心ものびやかになっていく。 まして玉を敷いたと言って…

【平家物語153 第5巻 奈良炎上③】猛火がこの大仏殿に燃え移る。火の手は大仏殿を包みどす黒い煙が噴き出し、紅蓮の焔をあげた。大焦熱の地獄、焔の底の罪人も、これほどとは思われぬ阿鼻の地獄であった。

このとき、大将軍頭中将重衡は般若寺の門の前に立って下知した。 「闇《くら》し、火をつけよ」 命をうけた播磨国の住人、 福井《ふくい》の荘《しょう》の下司《げし》次郎大夫友方、 楯を割るとこれに火をつけ松明《たいまつ》として付近の住家に火を放っ…

【平家物語152 第5巻 奈良炎上②】「隠忍もこれまでじゃ、奈良を討て」たちまち大軍が揃えられ、大将軍に頭中将重衡、中宮亮通盛が任ぜられて、総兵力四万余騎奈良へ実力行使と進発した。

「隠忍もこれまでじゃ、奈良を討て」 たちまち大軍が揃えられ、 大将軍に頭中将重衡《とうのちゅうじょうしげひら》、 中宮亮通盛《ちゅうぐうのすけみちもり》が任ぜられて、 総兵力四万余騎奈良へ実力行使と進発した。 一方奈良の大衆老若合わせて七千余人…

【平家物語151 第5巻 奈良炎上①】京では、興福寺が三井寺と手を組み、高倉宮を受け入れたり、迎えに兵を出すなど、明らかに朝敵であると断じた。奈良は、平家が攻め寄せるとの噂で大衆は一斉に騒ぎ出した。

京では、奈良興福寺が三井寺と手を組み、高倉宮を受け入れたり、 あるいは迎えに兵を出すなどの行為は、明らかに朝敵であると断じた。 奈良には、平家が攻め寄せるとの噂が伝わったので大衆は一斉に騒ぎ出した。 これを聞いた関白はことを穏便に計ろうと 有…

【🌹源氏物語756 第23帖 初音15完】私は夕霧に私自身のまじめでなかった名誉を回復させたく思っていたが、それだけでは完全な人間に成りえないのだから、芸術的な所をなくさせぬようにしなけばならない‥

各夫人の見物席には、 いずれ劣らぬ美しい色を重ねた女房の袖口が出ていて、 曙《あけぼの》の空に春の花の錦《にしき》を 霞《かすみ》が長く一段だけ見せているようで、 これがまた見ものであった。 舞い人は、「高巾子《こうこじ》」という脱俗的な曲を演…

【🌹源氏物語755 第23帖 初音14】正月の男踏歌の日、夫人らにも来て見物することを源氏が勧めてあったので、皆来ていた。玉鬘の姫君も紫の上や明石姫君に面会した

今年《ことし》の正月には男踏歌《おとことうか》があった。 御所からすぐに朱雀《すざく》院へ行ってその次に六条院へ舞い手はまわって来た。 道のりが遠くてそれは夜の明け方になった。 月が明るくさして 薄雪の積んだ六条院の美しい庭で行なわれる踏歌が…

【🌹源氏物語754 初音13】空蝉の尼君の住んでいる所へ源氏は来た。そこの主人らしくここは住まずに、目だたぬ一室にいて、住まいの大部分を仏間に取った空蝉が仏勤めに傾倒して暮らす様子も哀れに見えた。

空蝉《うつせみ》の尼君の住んでいる所へ源氏は来た。 そこの主人《あるじ》らしくここは住まずに、 目だたぬ一室にいて、住居《すまい》の大部分を仏間に取った空蝉が 仏勤めに傾倒して暮らす様子も哀れに見えた。 経巻の作りよう、仏像の飾り、ちょっとし…

【🌹源氏物語752 第23帖 初音11】新年騒ぎの少し静まった頃、源氏は東の院へ来た。末摘花の姫君は無視しがたい身分を思って、形式的には非常に尊貴な夫人としてよく取り扱っているのである。

新年騒ぎの少し静まったころになって源氏は東の院へ来た。 末摘花《すえつむはな》の女王《にょおう》は無視しがたい身分を思って、 形式的には非常に尊貴な夫人としてよく取り扱っているのである。 昔たくさんあった髪も、年々に少なくなって、 しかも今は…

【🌹源氏物語751 第23帖 初音10】紫の女王以外の夫人たちは、極楽世界に生まれても下品下生《げぼんげしょう》の仏で、まだ開かない蓮《はす》の蕾《つぼみ》の中にこもっている気がされた。

春の花を誘う夕風がのどかに吹いていた。 前の庭の梅が少し咲きそめたこの黄昏《たそがれ》時に、 楽音がおもしろく起こって来た。「この殿」が最初に歌われて、 はなやかな気分がまず作られたのである。 源氏も時々声を添えた。 福草《さきぐさ》の三つ葉四…