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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2023-07-09から1日間の記事一覧

【源氏物語343 第13帖 明石5】慈悲をあまねく日本国じゅうに垂れたまい、不幸なる者を救いたまえること数を知らず、今何の報いにて風波の牲となりたまわん。彼らは祈った。

源氏物語343です 「帝王の深宮に育ちたまい、 もろもろの歓楽に驕《おご》りたまいしが、 絶大の愛を心に持ちたまい、 慈悲をあまねく日本国じゅうに垂《た》れたまい、 不幸なる者を救いたまえること数を知らず、 今何の報いにて風波の牲《にえ》となりたま…

【源氏物語342 第13帖 明石4】「住吉の神、この付近の悪天候をお鎮めください。慈悲そのものであなたはいらっしゃるはずですから」と源氏は言って大願を立てた。

「私はどんな罪を前生で犯して こうした悲しい目に逢《あ》うのだろう。 親たちにも逢えず かわいい妻子の顔も見ずに死なねばならぬとは」 こんなふうに言って歎く者がある。 源氏は心を静めて、 自分にはこの寂しい海辺で 命を落とさねばならぬ罪業《ざいご…

【源氏物語341 第13帖 明石3】この世は滅んでいくのではないかと思った。翌日から また、大風が吹いて、海潮が満ち、高く立つ波の音は岩も山も崩してしまうように響いた。

「ただ例のような雨が 少しの絶え間もなく降っておりまして、 その中に風も時々吹き出すというような日が 幾日も続くのでございますから、 それで皆様の御心配が始まったものだと存じます。 今度のように地の底までも通るような 荒い雹《ひょう》が降ったり…

【源氏物語340 第13帖 明石2】紫の上から手紙がくる。風雨は何かの暗示ではないかと宮中では仁王会をあそばすとのこと。参内もできないので政治も止まっている。

二条の院のほうからその中を人が来た。 濡《ぬ》れ鼠《ねずみ》になった使いである。 雨具で何重にも身を固めているから、 途中で行き逢っても人間か何かわからぬ形をした、 まず奇怪な者として追い払わなければならない 下侍に親しみを感じる点だけでも、 …

【源氏物語339 第13帖 明石 1】雨風は止まず雷鳴もとどろいていた。この頃の夢は怪しいものが来て誘おうとするものばかり。源氏も冷静ではいられなかった。

まだ雨風はやまないし、 雷鳴が始終することも同じで幾日かたった。 今は極度に侘《わび》しい須磨の人たちであった。 今日までのことも明日からのことも心細いことばかりで、 源氏も冷静にはしていられなかった。 どうすればいいであろう、 京へ帰ることも…

源氏物語 第十三帖 明石(あかし)🪻源氏の二十七歳春から二十八歳秋、明石の浦の別れと政界復帰

【源氏物語 13帖 明石(あかし)】 連日のように続く、豪風雨。 源氏一行は眠れぬ日々を過ごしていた。 ある晩、二条院から紫の上の使いが訪れ、 紫の上からの文を読んだ源氏は 都でもこの豪風雨が発生している事を知る。 この悪天候のため、 厄除けの仁王会…

【源氏物語338 第12帖 須磨72 完】人間でない姿の者が来て「王様が召していらっしゃる」と言いながら、源氏を求めるようにしてその辺を歩きまわる夢を見た。

「こんなことに出あったことはない。 風の吹くことはあっても、 前から予告的に天気が悪くなるものであるが、 こんなににわかに暴風雨になるとは」 こんなことを言いながら山荘の人々は この天候を恐ろしがっていたが雷鳴もなおやまない。 雨の脚《あし》の…

【源氏物語337 第12帖 須磨71】海のほうは蒲団を拡げたように ふくれながら光っていて、雷鳴と電光が襲うてきた。

八百《やほ》よろづ 神も憐《あは》れと 思ふらん 犯せる罪の それとなければ と源氏が歌い終わった時に、 風が吹き出して空が暗くなってきた。 御禊《みそぎ》の式もまだまったく終わっていなかったが 人々は立ち騒いだ。 肱笠雨《ひじがさあめ》というもの…

【源氏物語336 第12帖 須磨70】巳の日に御禊をする事にした。仮の禊場を作り、旅の陰陽師を雇って祓いをさせた。船にやや大きい祓いの人形を乗せて流した。

今年は三月の一日に巳《み》の日があった。 「今日です、お試みなさいませ。 不幸な目にあっている者が御禊《みそぎ》をすれば 必ず効果があるといわれる日でございます」 賢がって言う者があるので、 海の近くへ また一度行ってみたいと思ってもいた源氏は…

【源氏物語335 第12帖 須磨69】「これは形見だと思っていただきたい」宰相は大切な笛を源氏に贈る。友情がしばらく慰めたあとの源氏はまた寂しい人になった。

「これは形見だと思っていただきたい」 宰相も名高い品になっている笛を一つ置いて行った。 人目に立って問題になるようなことは 双方でしなかったのである。 上って来た日に帰りを急ぎ立てられる気がして、 宰相は顧みばかりしながら座を立って行くのを、 …

【源氏物語334 第12帖 須磨68】宰相は心を込めた土産を源氏に贈った。源氏は 貴方のそばでいななくようにと黒馬を贈った。

朝ぼらけの空を行く雁《かり》の列があった。 源氏は、 故郷《ふるさと》を 何《いづ》れの春か 行きて見ん 羨《うらや》ましきは 帰るかりがね と言った。 宰相は出て行く気がしないで、 飽かなくに 雁の常世《とこよ》を 立ち別れ 花の都に 道やまどはん …

【源氏物語333 第12帖 須磨67】二人は眠らずに語り、詩を作った。杯を手にしながら「酔悲泪灑春杯裏」と一緒に歌った。供をしている者たちも皆 涙を流していた。

終夜眠らずに語って、そして二人で詩も作った。 政府の威厳を無視したとはいうものの、 宰相も事は好まないふうで、 翌朝はもう別れて行く人になった。 好意がかえってあとの物思いを作らせると言ってもよい。 杯を手にしながら 「酔悲泪灑春杯裏 《ゑひのか…

【源氏物語332 第12帖 須磨66】馬に稲を食わせたりするのが源氏にも客にも珍しかった。幼い夕霧の様子を聞いて源氏は悲しく思う。

山荘の馬を幾疋《ひき》も並べて、 それもここから見える倉とか納屋とかいう物から 取り出す稲を食わせていたりするのが源氏にも客にも珍しかった。 催馬楽《さいばら》の飛鳥井《あすかい》を二人で歌ってから、 源氏の不在中の京の話を泣きもし、笑いもし…

【源氏物語331 第12帖 須磨65】海人達が貝などを届けによったので話を聞く。小鳥のように多弁である。根本は処世難である。貴公子達は我らも同じだと思った。

室内の用具も簡単な物ばかりで、 起臥《きが》する部屋も 客の座から残らず見えるのである。 碁盤、双六《すごろく》の盤、 弾棊《たぎ》の具なども 田舎《いなか》風のそまつにできた物が置かれてあった。 数珠《じゅず》などがさっきまで 仏勤めがされてい…

【源氏物語330 第12帖 須磨64】罰を受けても悔やまぬと決心して 左大臣家の中将が源氏のもとに来た。長く相見る時を得なかった二人はたまたま得た会合の最初にまず泣いた。

源氏が日を暮らし侘《わ》びているころ、 須磨の謫居《たっきょ》へ左大臣家の三位中将が訪ねて来た。 現在は参議になっていて、 名門の公子でりっぱな人物であるから 世間から信頼されていることも格別なのであるが、 その人自身は今の社会の空気が気に入ら…

【源氏物語329 第12帖 須磨63】源氏は、京が思い出され泣くことが多かった。院の御代の最後の桜花の宴の日の父帝、艶な東宮時代の帝のお姿が思われた。

須磨は日の永い春になって つれづれを覚える時間が多くなった上に、 去年植えた若木の桜の花が咲き始めたのにも、 霞《かす》んだ空の色にも京が思い出されて、 源氏の泣く日が多かった。 二月二十幾日である、 去年京を出た時に心苦しかった人たちの様子が …

【源氏物語328 第12帖 須磨62】娘は優雅で上品な女で、貴族の娘にも劣らない。入道は大事がって年に二度づつ住吉の社に参詣させて 神の恩恵を頼みにしていた。

この娘はすぐれた容貌を持っているのではないが、 優雅な上品な女で、 見識の備わっている点などは貴族の娘にも劣らなかった。 境遇をみずから知って、 上流の男は自分を眼中にも置かないであろうし、 それかといって身分相当な男とは結婚をしようと思わない…

【源氏物語327 第12帖 須磨61】桐壺の更衣は、明石入道の叔父の按察使大納言の娘。桐壺の更衣と明石入道はいとこ同士であることを妻に伝える。

「なぜそうしなければならないのでしょう。 どんなにごりっぱな方でも 娘のはじめての結婚に罪があって 流されて来ていらっしゃる方を 婿にしようなどと、私はそんな気がしません。 それも愛してくださればよろしゅうございますが、 そんなことは想像もされ…

【源氏物語326 第12帖 須磨60】明石入道は娘を源氏と結婚させようと考える。妻は反対するが入道は聞かない。入道の風変わりな性格が伺われた。

「それはたいへんまちがったお考えですよ。 あの方はりっぱな奥様を何人も持っていらっしって、 その上陛下の御愛人をお盗みになったことが問題になって 失脚をなすったのでしょう。 そんな方が田舎育ちの娘などを眼中にお置きになるものですか」 と妻は言っ…

【源氏物語325 第12帖 須磨59】良清朝臣は、明石入道の娘に手紙を送ったりしたが返事はなかった。父親の入道から相談したいことがあると言ってきた。

明石の浦は這《は》ってでも行けるほどの近さであったから、 良清朝臣《よしきよあそん》は 明石の入道の娘を思い出して手紙を書いて送ったりしたが 返書は来なかった。 父親の入道から相談したいことがあるから ちょっと逢いに来てほしいと言って来た。 求…

【源氏物語324 第12帖 須磨58】源氏は 王昭君《おうしょうくん》を歌った詩の句が口に上った。月光が明るくて、狭い家は奥の隅々まで顕わに見えた。

源氏は 「胡角一声霜後夢《こかくいっせいそうごのゆめ》」と 王昭君《おうしょうくん》を歌った詩の句が口に上った。 月光が明るくて、狭い家は奥の隅々《すみずみ》まで顕《あら》わに見えた。 深夜の空が縁側の上にあった。 もう落ちるのに近い月がすごい…

【源氏物語323 第12帖 須磨57】灰色の空をながめながら源氏は琴を弾いていた。良清に歌を歌わせて、惟光には笛の役を命じた。源氏の琴の音に二人は涙を流していた。

近所で時々煙の立つのを、 これが海人《あま》の塩を焼く煙なのであろうと 源氏は長い間思っていたが、 それは山荘の後ろの山で柴《しば》を燻《く》べている煙であった。 これを聞いた時の作、 山がつの 庵《いほり》に 焚《た》けるしば しばも言問ひ 来な…