朝ぼらけの空を行く雁《かり》の列があった。
源氏は、
故郷《ふるさと》を 何《いづ》れの春か 行きて見ん
羨《うらや》ましきは 帰るかりがね
と言った。
宰相は出て行く気がしないで、
飽かなくに 雁の常世《とこよ》を 立ち別れ
花の都に 道やまどはん
と言って悲しんでいた。
宰相は京から携えて来た心をこめた土産《みやげ》を
源氏に贈った。
源氏からはかたじけない客を送らせるためにと言って、
黒馬を贈った。
「妙なものを差し上げるようですが、
ここの風の吹いた時に、
あなたのそばで嘶《いなな》くようにと思うからですよ」
と言った。
珍しいほどすぐれた馬であった。
🐎🎼 堺ヶ原 written by マニーラ🍀
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