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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語584 第18帖 松風8】頑固ではあったが、信頼してきた夫と離れるのが辛い明石の夫人。女房達も、美しい明石の浦を見ることもなくことを寂しく思った。心に沁みる秋であった。

これまでもすでに同じ家には住まず

別居の形になっていたのであるから、

明石が上京したあとに

自分だけが残る必要も認めてはいないものの、

地方にいる間だけの仮の夫婦の中でも

月日が重なって馴染《なじみ》の深くなった人たちは

別れがたいものに違いないのであるから、

まして夫人にとっては

頑固な我意の強い良人《おっと》ではあったが、

明石に作った家で終わる命を予想して、

信頼して来た妻なのであるから

にわかに別れて京へ行ってしまうことは心細かった。

光明を見失った人になって

田舎の生活をしていた若い女房などは、

蘇生《そせい》のできたほどにうれしいのであるが、

美しい明石の浦の風景に接する日の

またないであろうことを思うことで

心のめいることもあった。

これは秋のことであったからことに

物事が身に沁《し》んで思われた。

 🪷遥か written by 藍舟🪷

 

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