「もう長い間持ち主がおいでにならない別荘になって、
ひどく荒れたものですから、
私たちは下屋《しもや》のほうに住んでおりますが、
しかし今年の春ごろから内大臣さんが
近くへ御堂《みどう》の普請をお始めになりまして、
あすこはもう人がたくさん来る所になっておりますよ、
たいした御堂ができるのですから、
工事に使われている人数だけでも
どんなに大きいかしれません。
静かなお住居《すまい》がよろしいのなら
あすこはだめかもしれません」
「いや、それは構わないのだ。
というのは内大臣家にも関係のあることで
そこへ行こうとしているのだからね。
家の中の設備などは追い追いこちらからさせるが、
まず急いで大体の修繕のほうをさせてくれ」
と入道が言う。
「私の所有ではありませんが、
持っていらっしゃる方もなかったものですから、
一軒家のような所を長く私が守って来たのです。
別荘についた田地なども荒れる一方でしたから、
お亡くなりになりました民部大輔《みんぶだゆう》さんに
お願いして、
譲っていただくことにしましてそれだけの金は納めたのでした」
預かり人は自身の物のようにしている田地などを
回収されないかと危うがって、
権利を主張しておかねばというように、
鬚《ひげ》むしゃな醜い顔の鼻だけを赤くしながら
顎《あご》を上げて弁じ立てる。
🪷Loneliness of the sea 🪷
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