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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語588 第18帖 松風12】明石入道は、これが永遠の別れになること、自分が煙になる夕べまで 姫君の幸せを祈ることだろうと 自分の心のうちを伝える。

思いがけず源氏の君を婿に見る日が来たのであるが、

われわれには身分のひけ目があって、

よいことにも悲しみが常に添っていた。

しかし姫君がお生まれになったことで

私もだいぶ自信ができてきた。

姫君はこんな土地でお育ちになってはならない

高い宿命を持つ方に違いないのだから、

お別れすることがどんなに悲しくても私はあきらめる。

何事ももうとくにあきらめた私は僧じゃないか。

姫君は高い高い宿命の人でいられるが、

暫時《ざんじ》の間私に祖父と孫の愛を

作って見せてくださったのだ。

天に生まれる人も

一度は三途《さんず》の川まで行くということに

あたることだとそれを思って

私はこれで長いお別れをする。

私が死んだと聞いても仏事などはしてくれる必要はない。

死に別れた悲しみもしないでおおきなさい」

と入道は断言したのであるが、また、

「私は煙になる前の夕べまで

 姫君のことを六時の勤行《ごんぎょう》に

 混ぜて祈ることだろう。恩愛が捨てられないで」

と悲しそうに言うのであった。

 🪷離れない迷い written by Fukagawa🪷

 

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