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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語586 第18帖 松風10】明石入道は落ちてくる涙を拭い隠す。尼君は信頼する夫と離れることを嘆く。明石の上は、せめて見送ってほしいと懇願する。

行くさきを はるかに祈る 別れ路《ぢ》に

 たへぬは老いの 涙なりけり

 不謹慎だ私は」

と言って、

落ちてくる涙を拭《ぬぐ》い隠そうとした。

尼君が、京時代の左近中将の良人《おっと》に、

 

もろともに 都は出《い》でき このたびや

 一人野中の 道に惑はん

と言って泣くのも同情されることであった。

信頼をし合って過ぎた年月を思うと、

どうなるかわからぬ娘の愛人の心を頼みにして、

見捨てた京へ帰ることが尼君をはかなくさせるのであった。

 

明石が、

いきてまた 逢ひ見んことを いつとてか

 限りも知らぬ 世をば頼まん

 送ってだけでもくださいませんか」

と父に頼んだが、

それは事情が許さないことであると

入道は言いながらも途中が気づかわれるふうが見えた。

 🪷届かない声 written by K’z Art Storage 🪷

 


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