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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語717 第22帖 玉鬘17〈たまかずら〉】右近は、源氏の大臣が玉鬘の姫君をお世話をなさりたいと熱心に思召すことが実現されますよう、幸福におなりになりますように。と祈っているのであった。


右近は人知れず九州の一行の中の姫君の姿を目に探っていた。

そのうちに美しい後ろ姿をした一人の、

非常に疲労した様子で、

夏の初めの薄絹の単衣《ひとえ》のような物を上から着て、

隠された髪の透き影のみごとそうな人を右近は見つけた。

お気の毒であるとも、悲しいことであるとも思ってながめたのである。

少し歩き馴《な》れた人は皆らくらくと上の御堂《みどう》へ着いたが、

九州の一行は姫君を介抱《かいほう》しながら坂を上るので、

初夜の勤めの始まるころにようやく御堂へ着いた。

御堂の中は非常に混雑していた。

右近が取らせてあったお籠り部屋は右側の仏前に近い所であった。

九州の人の頼んでおいた僧は無勢力なのか西のほうの間で、

仏前に遠かった。

「やはりこちらへおいでなさいませ」

 と言って、右近が召使をよこしたので、

男たちだけをそのほうに残して、

おとどは右近との邂逅《かいこう》を簡単に豊後介へ語ってから、

右近の部屋のほうへ姫君を移した。

「私などつまらない女ですが、

ただ今の太政大臣様にお仕えしておりますのでね、

こんな所に出かけていましても

不都合はだれもしないであろうと安心していられるのですよ。

地方の人らしく見ますと、

生意気にお寺の人などは軽蔑《けいべつ》した扱いをしますから、

姫君にもったいなくて」

 右近はくわしい話もしたいのであるが、

仏前の経声の大きいのに妨げられて、やむをえず仏を拝んでだけいた。

 この方をお捜しくださいませ、

お逢《あ》わせくださいませとお願いしておりましたことを

おかなえくださいましたから、

今度は源氏の大臣《おとど》がこの方を子にしてお世話をなさりたいと

熱心に思召《おぼしめ》すことが実現されますようにお計らいくださいませ、

そうしてこの方が幸福におなりになりますように。

と祈っているのであった。

🌙🎼#月へ続く道 written by #すもち

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