大極殿の御輿《みこし》の寄せてある神々しい所に御歌があった。
身こそかく しめの外《ほか》なれ そのかみの
心のうちを 忘れしもせず
と言うのである。
返事を差し上げないこともおそれおおいことであると思われて、
斎宮の女御は苦しく思いながら、
昔のその日の儀式に用いられた簪《かんざし》の端を少し折って、
それに書いた。
しめのうちは 昔にあらぬ ここちして
神代のことも今ぞ恋しき
藍《あい》色の唐紙に包んでお上げしたのであった。
院はこれを限りもなく身に沁《し》んで御覧になった。
このことで御位《みくらい》も取り返したく思召した。
源氏をも恨めしく思召されたに違いない。
かつて源氏に不合理な厳罰をお加えになった報いを
お受けになったのかもしれない。
院のお絵は太后の手を経て
弘徽殿《こきでん》の女御《にょご》のほうへも
多く来ているはずである。
尚侍《ないしのかみ》も絵の趣味を多く持っている人であったから、
姪の女御のためにいろいろと名画を集めていた。
🪷夏空、静寂、蝉しぐれ written by 蒲鉾さちこ🪷
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