「須磨、明石の二巻は女院の御座右に差し上げていただきたい」
こう源氏は申し出た。
女院はこの二巻の前後の物も皆見たく思召すとのことであったが、
「またおりを見まして」
と源氏は御挨拶《あいさつ》を申した。
帝が絵合わせに満足あそばした御様子であったのを
源氏はうれしく思った。
二人の女御の挑《いど》みから始まった
ちょっとした絵の上のことでも
源氏は大形《おおぎょう》に力を入れて
梅壺《うめつぼ》を勝たせずには置かなかったことから
中納言は娘の気《け》押されて行く運命も予感して
口惜《くちお》しがった。
帝は初めに参った女御であって、
御愛情に特別なもののあることを、
女御の父の中納言だけは想像のできる点もあって、
頼もしくは思っていて、
すべては自分の取り越し苦労であると
しいて思おうとも中納言はしていた。
🪷月夜の空中庭園 written by こおろぎ 🪷
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