山荘は風流にできていて、
大井川が明石でながめた海のように前を流れていたから、
住居《すまい》の変わった気もそれほどしなかった。
明石の生活がなお近い続きのように思われて、
悲しくなることが多かった。
増築した廊なども趣があって
園内に引いた水の流れも美しかった。
欠点もあるが住みついたならきっとよくなるであろうと
明石の人々は思った。
源氏は親しい家司《けいし》に命じて
到着の日の一行の饗応をさせたのであった。
自身で訪ねて行くことは、
機会を作ろう作ろうとしながらも
おくれるばかりであった。
源氏に近い京へ来ながら物思いばかりがされて、
女は明石《あかし》の家も恋しかったし、
つれづれでもあって、
源氏の形見の琴《きん》の絃《いと》を鳴らしてみた。
非常に悲しい気のする日であったから、
人の来ぬ座敷で明石がそれを少し弾《ひ》いていると、
松風の音が荒々しく合奏をしかけてきた。
🪷正月用のシンプルな琴 written by ISAo🪷
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