宮中の儀式などもこの御代から始まったというものを
起こそうと源氏は思うのであった。
絵合わせなどという催しでも単なる遊戯でなく、
美術の鑑賞の会にまで引き上げて行なわれるような
盛りの御代が現出したわけである。
しかも源氏は人生の無常を深く思って、
帝がいま少し大人におなりになるのを待って、
出家がしたいと心の底では思っているようである。
昔の例を見ても、年が若くて官位の進んだ、
そして世の中に卓越した人は
長く幸福でいられないものである、
自分は過分な地位を得ている、
以前不幸な日のあったことで、
ようやくまだ今日まで運が続いているのである、
今後もなお順境に身を置いていては長命のほうが危い、
静かに引きこもって
後世《ごせ》のための仏勤めをして長寿を得たいと、
源氏はこう思って、
郊外の土地を求めて御堂《みどう》を建てさせているのであった。
仏像、経巻などもそれとともに用意させつつあった。
しかし子供たちをよく教育してりっぱな人物、
すぐれた女性にしてみようと思う精神と出家のことは
両立しないのであるから、
どっちがほんとうの源氏の心であるかわからない。
🪷雪風 written by のる🪷
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