「私のほうでは田地などいらない。
これまでどおりに君は思っておればいい。
別荘その他の証券は私のほうにあるが、
もう世捨て人になってしまってからは、
財産の権利も義務も忘れてしまって、
留守居《るすい》料も払ってあげなかったが、
そのうち精算してあげるよ」
こんな話も相手は、
入道が源氏に関係のあることを
におわしたことで気味悪く思って、
私慾《しよく》をそれ以上たくましくはしかねていた。
それからのち、
入道家から金を多く受け取って大井の山荘は修繕されていった。
そんなことは源氏の想像しないことであったから、
上京をしたがらない理由は何にあるかと怪しんでは、
姫君がそのまま田舎に育てられていくことによって、
のちの歴史にも不名誉な話が残るであろうと
源氏は歎息《たんそく》されるのであったが、
大井の山荘ができ上がってから、
はじめて昔の母の祖父の山荘のあったことを思い出して、
そこを家にして上京するつもりであると明石から知らせて来た。
東の院へ迎えて住ませようとしたことに同意しなかったのは、
そんな考えであったのかと源氏は合点した。
聡明《そうめい》なしかただとも思ったのであった。
🪷止まない雨を見ていた written by キュス 🪷
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