評判どおりに入念に描かれた絵巻が多かった。
優劣をにわかにお決めになるのは困難なようである。
例の四季を描いた絵も、
大家がよい題材を選んで筆力も雄健に描き流した物は
価値が高いように見えるが、
今度は皆紙絵であるから、
山水画の豊かに描かれた大作などとは違って、
凡庸な者に思われている今の若い絵師も
昔の名画に近い物を作ることができ、
それにはまた現代人の心を惹くものも多量に含まれていて、
左右はそうした絵の優劣を論じ合っているが、
今日の論争は双方ともまじめであったからおもしろかった。
襖子《からかみ》をあけて朝餉《あさがれい》の間《ま》に
女院は出ておいでになった。
絵の鑑識に必ず自信がおありになるのであろうと思って、
源氏はそれさえありがたく思われた。
判者が断定のしきれないような時に、
お伺いを女院へするのに対して、
短いお言葉の下されるのも感じのよいことであった。
左右の勝ちがまだ決まらずに夜が来た。
🪷Silent P written by Nanaki Amano🪷
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