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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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【源氏物語609 第19帖 薄雲40】源氏は几帳だけを隔てて、女御とお会いになった。艶な人であるに相違ない、今日まで お顔を見ることのできないことが残念であると、源氏の胸が騒いだ。困った癖である。


御簾《みす》の中へ源氏ははいって行った。

几帳《きちょう》だけを隔てて王女御はお逢いになった。

「庭の草花は残らず咲きましたよ。

 今年のような恐ろしい年でも、

 秋を忘れずに咲くのが哀れです」

こう言いながら柱によりかかっている源氏は美しかった。

御息所《みやすどころ》のことを言い出して、

野の宮に行ってなかなか逢ってもらえなかった秋のことも話した。

故人を切に恋しく思うふうが源氏に見えた。

宮も

「いにしへの昔のことをいとどしくかくれば袖ぞ露けかりける」

というように、

少しお泣きになる様子が非常に可憐《かれん》で、

みじろぎの音も類のない柔らかさに聞こえた。

艶《えん》な人であるに相違ない、

今日までまだよく顔を見ることのできないことが残念であると、

ふと源氏の胸が騒いだ。

困った癖である。

🍁🎼秋の音 written by Fukagawa

 

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