「お姉様の三の宮がおうらやましい。
あなたのお子さんを孫にしておられる御縁で
始終あなたにお逢いしておられるのだからね。
ここのお亡くなりになった宮様もその思召しだけがあって、
実現できなかったことで歎息《たんそく》を
あそばしたことがよくあるのです」
というお話だけには源氏も耳のとまる気がした。
「そうなっておりましたら
私はすばらしい幸福な人間だったでしょう。
宮様がたは私に御愛情が足りなかったとより思われません」
と源氏は恨めしいふうに、しかも言外に意を響かせても言った。
🌸優しい憂雨に written by 蒲鉾さちこ
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