2024-02-25から1日間の記事一覧
「人聞きのよい人生の望みなどはたいして持ちませんが、 四季時々の美しい自然を生かせるようなことで、 私は満足を得たいと思っています。 春の花の咲く林、秋の野のながめを 昔からいろいろに優劣が論ぜられていますが、 道理だと思って、 どちらかに加担…
【源氏物語612 第19帖 薄雲43】源氏は、自分の望みは閑散な身になって 風流三昧の暮らしたいと言った。女御のお返事はおおようで、源氏の心それに惹きつけられてしまって、日の暮れるまでとどまっていた。
「今の私の望みは閑散な身になって 風流三昧《ざんまい》に暮らしうることと、 のちの世の勤めも十分にすることのほかはありませんが、 この世の思い出になることを一つでも残すことのできないのは さすがに残念に思われます。 ただ二人の子供がございますが…